トランプのウィキペディアページは常に戦争中
Donald Trump’s Wikipedia Entry Is a War Zone
やがてトークページでは個人攻撃が始まった。すると管理者の MelanieN は「暴走した」人々を批判し、合意なしでゼロ・トレランスに関する記述を追加した MrX を非難した。
MrX も黙ってはいなかった。「MelanieN、また私を悪者呼ばわりするのか」と彼は書いた。「議論の口火を切ったのは私で、流れは記述する方向に傾いていた。だから私はウィキペディアの基本方針に従って『大胆な編集』を行ったのだ」
確かにウィキは「大胆な編集」を奨励し、積極的な加筆や修正を求めている。しかし編集者の Mandruss は MrX に反論した。「流れが『傾く』のではなく合意が得られるのを待つべきだった。あなたが勝手に記述を追加すれば、ほかの編集者もそうするだろう。そうなれば、あなたが他人の意見や判断に猛反発するのは目に見えている」
MrX は「あなたは大胆な編集が気に入らないらしい。それとも世間のスピードについていけないのか」と嫌みを返しながらも、ゼロ・トレランス政策について解説した新たな文章をトークページにアップした。
この下書きを編集グループが推敲。保守系メンバーからは不満も出たが、最終的にこの記述は採用された。
トランプのページをめぐる攻防は終わりのない綱引きのようだが、対立は必ずしも悪いことではない。どんなに激しい論戦になっても、最後には必ず合意ができるからだ。
なぜだろう? JFG に言わせれば、こうだ。「ある記述を一部の人が『右寄り過ぎる』と批判し、別な人たちが『左寄り過ぎる』と批判する。そしたら、そこが落としどころだ」
©2019 The Slate Group
<本誌2019年6月25日号掲載>
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