最新記事

動物

いまのフルーツは動物たちに毒、豪動物園が「果物断ち」始める

Fruit Has Become so Sugary that Animals Can't Eat It

2018年10月1日(月)16時30分
ブレンダン・コール

サルは甘いバナナが大好きだが、それは昔のバナナとは違う Caren Firouz-REUTERS

オーストラリアのメルボルン動物園は、動物たちに「果物断ち」をさせている。最近の果物には糖分が多過ぎて、動物たちを太らせ、歯を腐らせるからだ。

餌に入れる果物を徐々に減らし、緑の野菜に置き換えている。とくに笹と果物ばかりに食べ物が偏りやすいレッサーパンダには、ビタミンとミネラルを詰めた特製の「パンダボール」も与えているという。

今の果物は自然のままの昔の果物とちがい、品種改良や遺伝子組み換えで動物には不健康なまでに甘くなっていると、メルボルン動物園の獣医、マイケル・リンチは言う。サルたちにも、大好物のバナナを一切与えていないと、リンチはメルボルン・エイジ誌に語った。

「動物は果物の糖分が大好きだ。とくにサルとレッサーパンダは果物ばかり食べてしまう」
と、リンチは言う。「だが栽培野菜は、遺伝子操作で自然の野菜よりも糖分がはるかに多くなっている」

メルボルン大学の食物科学者、セネカ・ラナディーラ博士も、プラムなど一部の果物の糖分は過去20年間で倍になっているという。「りんごだって、昔はもっと小さくて苦かった」

ただし、昔より甘く作られた今の果物でも、人間にとっては心臓病や癌、心筋梗塞のリスクを減らすなどメリットのほうが大きい。ソフトドリンクのほうがずっと有害だという。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米5月PCE価格、前年比2.3%上昇 個人消費支出

ワールド

プーチン氏、OPECプラスの増産継続示唆 夏季の需

ワールド

トランプ氏、FRBに改めて利下げ要求 パウエル議長

ビジネス

カナダ4月GDP、前月比0.1%減 米関税影響で製
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 2
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    富裕層が「流出する国」、中国を抜いた1位は...「金…
  • 5
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は…
  • 8
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 9
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 10
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 10
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中