最新記事

小惑星探査

史上初、小惑星への着陸に成功!「はやぶさ2」から投下された2機の小型ロボットに緊張と興奮

2018年10月3日(水)15時50分
鳥嶋真也

先代のリベンジとなる着陸成功

ミネルヴァII1の2機のローヴァーは、ひとつのコンテナに収められた状態で「はやぶさ2」に搭載されており、「はやぶさ2」がリュウグウに降下し、適切なタイミングをもってコンテナを開いて、分離・投下するようになっていた。

そして9月21日13時06分(日本時間)、「はやぶさ2」からミネルヴァII1が分離。15時30分には地球と通信できることが確認された。その後、リュウグウが自転していることもあって一時的に通信が途切れたものの、ミネルヴァII1の両ローヴァーは順調に活動を続け、翌22日の夜になって、JAXAは「2機とも小惑星リュウグウ表面に着地したことを確認した」と明らかにした。

さらに両ローヴァーは、分離直後の離れていく「はやぶさ2」の姿や、ホップして浮き上がっている状態、そしてボルダー(岩塊)だらけのごつごつしたリュウグウの地表などの写真をいくつも送り届けた。さらに27日には連続写真を合成した動画も公開されている。

space1003003.jpg

2018年9月21日、探査機から分離直後の13時08分(日本時間)頃に、ローヴァー1Aが撮影した画像。「はやぶさ2」探査機(上)とリュウグウ表面(下)が写っている。ローヴァーが回転している状態で撮影しているので画像がぶれている (C) JAXA


ミネルヴァIIの開発を担当したJAXAの吉光徹雄氏は「小惑星表面でのホップ中の画像が届いたときには、小天体での移動メカニズムの有効性を確認することができて、長年の研究成果が実を結んだことを実感しました」と語った

じつは、ミネルヴァII1のようなローヴァーによる着陸、そして小惑星の探査は、"再挑戦"でもあった。というのも、2005年に小惑星イトカワを探査した探査機「はやぶさ」に、ミネルヴァII1の先代にあたる「ミネルヴァ」が搭載されていた。しかし、着陸に挑戦するも、分離のタイミングがうまくいかずに失敗していた。

今回のミネルヴァII1は、ミネルヴァという名の探査機と、その関係者らにとってリベンジでもあったが、完璧な成功をもってその雪辱を果たした。

JAXAでは、今後もミネルヴァII1の運用を続けるとともに、さらにデータを取得して、解析を進めて行く予定だとしている。

ローヴァー1Bが撮影した画像を動画にしたもの。2018年9月23日10時34分から11時48分(日本時間)まで15枚取得した画像による動画 (C) JAXA
.

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次

ワールド

トランプ大統領、ベネズエラとの戦争否定せず NBC

ワールド

プーチン氏、凍結資産巡りEU批判 「主要産油国の外
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中