最新記事

気候変動

マンモスを蘇らせて地球を救う──ハーバード大学

2018年5月2日(水)15時38分
カシュミラ・ガンダー

寒さに強い血液、長い毛などマンモスの特徴をもったゾウなら(上はイラストです) Aunt_Spray/iStock.

<北極圏の永久凍土から放出されるメタンが激烈な気候変動をもたらす「メタンの時限爆弾」を、寒さに強いマンモスのDNAで回避する>

遺伝子組み換えにより、既に絶滅したマンモスと、現生生物のゾウの交配種を作り、北極圏に送り込もうという計画がある。目的は、北極圏の永久凍土に閉じ込められていたメタンが温暖化で漏れ出し、地球環境に壊滅的な影響をもたらす「メタンの時限爆弾」を防ぐことだ。

この計画を提唱したハーバード大学の研究チームは、耐寒性のある交配種を作り、北米およびユーラシア大陸に広がる寒帯に放つことは可能と考えている。英テレグラフ紙の報道によると、数カ月以内に、このテーマに関する最初の論文を発表する予定だという。

現在、この一帯には大型の哺乳類が生息していない。そのため、冬に積もった厚い雪の層は、踏み固められたり削り取られたりすることもなく、冷気が雪の下の地中まで達しない。さらに夏の気温上昇も相まって、北極圏の永久凍土層は溶け始めている。落ち葉などの有機物が腐敗することなく蓄えられた永久凍土が露出した状態となり、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの形で、炭素が大気に大量放出される恐れが出てきている。

寒さに適応した血液

「メタンの時限爆弾」として広く知られる脅威だ。放出される炭素は、世界中の森林をすべて焼き尽くす量の2.5倍にも達すると考えられている。

世界的に有名な遺伝学者である、ハーバード大のジョージ・チャーチ教授が10年以上率いる研究プロジェクトの一環として、シベリアの氷が溶けて発掘されたマンモスから、44の遺伝子を採取した。

プロジェクトでは、これらの遺伝子をアジアゾウのゲノムと接合する計画だ。実現までにはまだ多くの年月がかかると見られるが、成功すれば、マンモスの形質を備えたゾウが誕生することになる。特徴は、寒さに適応した血液や長い体毛、分厚い脂肪層などが挙げられる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

財政支出で市場金利上昇の場合、投資減少の「可能性あ

ビジネス

消費者態度指数3月は前月比6.4ポイントと大幅低下

ワールド

ベネズエラ暫定大統領、5月に「責任ある賃上げ」 額

ワールド

南アジア地域の26年経済成長率、6.3%に鈍化=世
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 7
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 8
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    アメリカとイランが2週間の停戦で合意...ホルムズ海…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 5
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 6
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中