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ブラックバイトの被害が多いのは、コンビニ、居酒屋、学習塾

2017年12月27日(水)11時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

家計が苦しく親に頼れない学生が増え、その一方で産業界は人手不足。双方の条件がマッチングして、アルバイトをする学生の比率は年々上がっている。<図2>は、通学者(学生)のうち、通学の傍らで仕事をしている学生の割合の年齢カーブだ。

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どの年齢でも学生のアルバイト実施率は上昇している。大学生ではその傾向が顕著で、入学年齢の19歳を見ると、1985年では9.7%だったが2015年では24.4%に増えている。都市部ではもっと高い。<図1>でみたブラックバイトの被害は、ごく一部の学生の問題ではない。

これからアルバイトをする新入生に対し、労働法規のガイダンスをする大学が増えているが、これは非常に重要なことだ。初年次の必修科目にしてもいいかもしれない。やがては社会に出ていく全ての学生にとって必須の知識だろう。こうした法知識があることで、不当な要求に対して「No」と言えるようになる。

過剰なサービスを競い合う産業界の風潮も変えなければならない。「24時間営業はやめよう」「即日配達はやめよう」「お客様を神様と言うのはやめよう」。来年はこういうフレーズを合言葉にしてもいいのではないだろうか。

<資料:厚労省「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」(2015年11月)
    総務省『国勢調査』


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