最新記事

アメリカ政治

イバンカのアパレル工場は時給1ドルのブラック企業だった

2017年4月27日(木)19時27分
エレノア・ロス

父トランプの「米国第一」主義を擁護する一方で中国に生産委託するイバンカ Hannibal Hanschke-REUTERS

<「アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う」が父トランプの公約なのに――言っていることとやっていることが噛み合わないのだから笑われるわけだ>

ドナルド・トランプ米大統領の娘イバンカのファッションブランド「イバンカ・トランプ」の洋服を作る中国の工場は週60時間労働で時給は約1ドルだということがわかった。

非営利組織「公正労働協会」(FLA)が昨年10月、イバンカ・トランプの商品生産を2012年から独占的に請け負うG-IIIアパレルグループの工場を検査し、その結果をワシントン・ポストが記事にした。同グループは販売価格158ドルのドレスや79ドルのブラウスなどを作っている。

FLAの査察官は2日間の工場見学を実施。工員の休暇は年間5日で、労働組合が存在しない。また、工員らは安全手順に関する訓練が抜けていると警告した。

工員の月給は273~303ドルで、国家統計局によれば平均的な製造業労働者のおよそ半分だ。

【参考記事】中国はなぜイバンカ・トランプに夢中なのか

【参考記事】「低賃金時代はもう終わる」

まさに「利益相反」

トランプ大統領は選挙中から「アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う」と「米国第一」主義を掲げるスローガンを繰り返し使ってきた。先週18日にトランプは米国製品の購入や米国民の雇用を促す大統領令に署名した。娘のイバンカはずっとその父の味方だったが、自分も中国人の労働者を安く使って利益を上げていたのだ。

イバンカは25日にベルリンで行われた、20カ国・地域(G20)の女性指導者の会合「W20サミット」に出席した。アンゲラ・メルケル独首相や国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド専務理事と同列に並び、華々しいヨーロッパ外交デビューになるはずだったが、やっぱりずれていたようだ。「お父さんの女性への態度を見ていると、女性支援に積極的なのか疑問が残る」と聞かれて「娘としての経験から言える。父親は女性に理解がある」と答えるなど、浮世離れしたコメントでブーイングを浴びた。

左からイバンカ、ラガルドIMF専務理事、メルケル独首相


【参考記事】親馬鹿トランプ、イバンカをかばい「利益相反」体質さらす

【参考記事】トランプファミリーの異常な「セレブ」生活

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中