最新記事

発想術

「今日は赤」と意識するだけ 「カラーバス」で見える世界が変わる

2017年3月31日(金)22時27分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 このカラーバス、どうやって使うか。大きく分けて2つの使い方があります。

 普段の使い方は特にアテなく、自分にとって使えそうな何かを探すとき。そしてかなり切羽詰まっていて、目前の問題解決につながりそうなヒントを探すとき。どちらの場合も、通勤とか、どこそこへの移動とか、街中を動くときに有効な考具です。

 普段使いのときには、意識するものを1つ、決めておきます。最初に「色」を取り上げました。カラーバスというくらいなので色が一番分かりやすいというか、気がつきやすいことは確かです。

 赤色を意識していると、赤い色に塗られたものが次々と目に入ってきます。家の中にも結構あるはずです。ペンに本の表紙、靴下にパソコンソフトの箱。外に出るとさらに赤いものだらけ。クルマはもちろんですが、歩いている人たちが身につけている洋服にバッグ、冬ならマフラー。商店街のお店の看板にも赤色って多いです。もしもどこかのお店に入るチャンスがあったらさらに赤色旋風......。

 こんなにあるんだ......とまずは素直に驚いてください。

 驚いた次に、赤いものが何だったのか? を見てください。

 心の中でブツブツつぶやきながら列挙していくことをわたしはよくやってます。するとどうなるか? 赤色、それだけの共通項で括られると、自分の想像をはるかに越えたアイテムたちが集結することになるんです。靴下と回転寿司の看板、なんて一緒にして想起することって日頃はないんじゃないですか?

 この、一見関係なさそうなものたちが自然に集まってしまうことがカラーバスの不思議なところ。街をぶらつくだけで新鮮なアイテムがあなたの目の前に登場してくれます。

 もう一度「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」の原則を思い出してください。既存の要素......ここに落とし穴があります。

 アイデアを考えることに慣れていない場合、既存の要素を探す範囲が狭くなってしまうことが多いのです。クルマならクルマ周りのことだけで考えようとしてしまうパターンです。

 アイデア稼業の広告会社にいてもよくこの穴には落ちてしまいます。そんなの関係あるの? と思ってしまうようなことをあえて引っ張り出してくるところに新しさの芽があります。そして悲しいかなわたしたちは「よし、いつもと違うことを見つけよう」と張り切ってみても視線の使い方を変えられずに終わってしまうのです。少なくともわたしはダメです。強制的に「○○色」に決めることで注意力の方向をうまくずらしてもらえるのが、カラーバスのありがたさですね。

 普段使いのときには「そうかあ、赤いものって結構たくさんあるなあ。△△寿司の看板もそうか。そういえばトロ食ってないなあ......赤貝も食べたいなあ」などと、一応"赤縛り"で吞気(のんき)にぼやーっと連想して、終わりです。

 それ以上のことをする必要はありません。翌日は色を変えてみるぐらいです。目についたアイテムたちを強く覚えようともしていません。いざ鎌倉のときにフッと思い出したらラッキー! くらいの気持ちです。一度しっかり意識した、この事実だけで十分です。必ずいつか役に立ってくれます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

オラクル、TikTok米事業継続関与へ 企業連合に

ビジネス

7月第3次産業活動指数は2カ月ぶり上昇、基調判断据

ビジネス

テザー、米居住者向けステーブルコイン「USAT」を

ワールド

焦点:北極圏に送られたロシア活動家、戦争による人手
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中