最新記事

中東

トルコがロシア軍機撃墜、プーチン大統領「決して許さない」

2015年11月25日(水)16時47分

 パリ同時多発攻撃後に高まっていた、ロシアと西側のイスラム国掃討に向けた連携に、今回の事件が水を差す可能性がある。

 トルコによるロシア機撃墜を受け、イスラム国掃討作戦をめぐり訪米中のオランド仏大統領とオバマ米大統領は会談後の共同記者会見で、ロシアとトルコ両国は緊張の高まりを避ける必要があるとの考えを表明した。

 オバマ大統領は「緊張の高まりにつながらないようにすることが最優先課題となる」と述べ、オランド大統領も「緊張の高まりは大きな阻害要因となるため、これを回避する必要がある」と語った。

 NATOは緊急理事会を開催。ストルテンベルグNATO事務総長はロシア機撃墜はトルコ領内で起こったとするトルコの立場を支持した。

脱出したパイロットを銃撃

 非政府組織「シリア人権監視団」によると、軍用機が墜落したのはシリア北西部ラタキア県内の山間部。同県では空爆が行われ、政府側と反政府側が地上戦を繰り広げていた。

 トルコ民間テレビ局の映像では、軍用機が炎上し、煙の尾を空中に残しながら森林地帯に墜落していく様子が映し出されている。

 また同国のアナドル通信社による別の映像からは、墜落前にパイロット2人がパラシュートで脱出しているのが分かる。

 シリア反体制派であるトルクメン人部隊の副司令官は、同部隊兵士らが降下中のパイロット2人を銃撃して死亡させたと語った。一方ロシア軍は、パイロットの1人は地上から銃で撃たれて死亡し、もう1人兵士が救出作戦中に死亡したことを確認した。

 トルコの高官は少なくともパイロット1人が生存している可能性があると述べた。

 ロイターが入手した映像では、パイロットの1人は地上で動かず、重傷を負っているように見えた。

 米軍の広報担当者は、今回の問題はトルコとロシア政府の問題であり、米国主導の有志連合によるシリアとイラクへの軍事作戦は「計画通り」遂行されると語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ南部ガス施設に攻撃、冬に向けロシアがエネ

ワールド

習主席、チベット訪問 就任後2度目 記念行事出席へ

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の過半数が支持=ロイター

ビジネス

シンガポールのテマセク、事業3分割を検討=ブルーム
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中