アポロ計画50年 「月に挑んだ男たち」が語る人類最大の冒険

THE GREATEST ADVENTURE

2019年7月18日(木)19時02分
ニーナ・バーリー(ジャーナリスト)

チャーリー・デューク
当時 アポロ13号と17号の打ち上げ時は月着陸船パイロットの交代要員としてスタンバイした。アポロ16号で月へと飛び立ち、月の土を踏んだ10人目の人物となった。
現在 月から帰還した後、信仰に目覚めた。80年代に妻ドティーとキリスト教団体「デューク・ミニストリー・フォー・クライスト」を設立。テキサス州在住。

マイケル・コリンズ
当時 69年7月16~24日にニール・アームストロング、バズ・オルドリンと共にアポロ11号に搭乗。司令船の操縦士として、史上初の月面着陸を見守った。
現在 国務省を第2の職場に選び、国立航空宇宙博物館の館長も務めた。現在はフロリダ州で読書と運動を楽しむ生活を送り、6月にはボストン・レッドソックス戦の始球式を務めた。

アル・ウォーデン
当時 71年7月26日~8月7日にアポロ15号に搭乗し、司令船エンデバーの操縦士を務めた。
現在 NASAを75年に退職した後、科学技術の分野で特別優秀な学生を支援する「宇宙飛行士奨学金基金」の会長を11年まで務めた。自伝『地球へと落ちて』で帰還後の経験を振り返り、今も精力的に講演を行っている。フロリダ州在住。

ラッセル・シュウェイカート
当時 69年3月3 ~13日に月着陸船のパイロットとしてアポロ9号に乗り組んだ。月着陸船の有人飛行試験を行ったのは9号が初めてだった。
現在 小惑星との衝突から地球を守るため、02年に元宇宙飛行士や研究者と共に民間団体「B612財団」を立ち上げ、名誉会長を務めている。カリフォルニア州在住。

moon190718-pic03.jpg

BETTMANN/GETTY IMAGES

ケネディの掲げた「ゴール」に皆が協力

マイケル・コリンズ 彼(ケネディ大統領)の指示は非常に明快だった。60年代の終わりまでに月に人間を着陸させ、安全に地球に帰還させよというのだ。つまり、やらなければならないことと、それをいつやらなければならないかははっきりしていた。私たちに託された課題は、それを「どうやるか」だった。

私たちは10年間、このテーマに必死に取り組んだ。どうやって60年代末までに人類初の月面着陸を実現させるか。ケネディが言ったとおりに。

チャーリー・デューク ケネディの言葉を聞いて、私は頭を振った。「無理に決まってる。アラン・シェパードが(アメリカ初の有人宇宙)飛行でやっと宇宙空間に15分滞在できたところなのに、月に宇宙飛行士を送ろうって言うのか? ずいぶん大胆な発言だ」

私は懐疑的だった。だが国中が力を貸してくれた。翌年、私はマサチューセッツ工科大学(MIT)に通い始めたが、MITでは既にアポロの誘導航行システムの構築が始まっていた。私もそれに携わった。仕事の中で何人かの宇宙飛行士と会ったが、あれほど情熱的で前向きに「自分たちはやり遂げられる」と考えている人たちは初めてだった。その高揚した気持ちに、私も影響された。「大丈夫、私たちはやれる。成功させてみせる」とね。

ラッセル・シュウェイカート 非常に緊張感漂う時代だったが、私たちはケネディの設定した目標を達成することだけに目を向けていた。ある意味では皆が心を一つに努力していた。国で、そして世界で何が起ころうとしているのか、気付いていなかったわけではない。ケネディの掲げた目標はとても個人的なものになっていた。あくまでも私の見方だが。そうはいっても、1つの目標をみんなで共有していたのも間違いないと思う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中