最新記事
SDGsパートナー

生産に関わる時間・空間・距離・在庫を「半分に減らす」オムロン松阪事業所の生産性改革

2024年1月10日(水)15時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
松阪事業所

生産に関わる時間・空間・距離・在庫を半分に減らす「All in half」の発想で運営されている松阪事業所

<人と機械がお互いの強みを生かして協業すれば、エネルギーと時間の無駄を削減しつつ生産量を増やすことが可能に>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


2022年、事業のエネルギー効率を倍増させることを目標に掲げる企業が参画する国際イニシアチブ「EP100」に、4社目の日本企業として加盟したオムロン株式会社。製造業においては国内で初の参加となった。そんな同社の松阪事業所で行われている、エネルギー生産性を追求する取り組みとは──。

エネルギー消費量を減らし、生産量を増やすためには

2020年10月26日、菅義偉首相(当時)は国会での所信表明演説で、日本が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを意味する。排出を完全になくすことは難しいため、排出された分を「吸収」または「除去」して、差し引きゼロを目指すという表明だ。

京都市に本社を置く大手電気機器メーカーのオムロン株式会社も、カーボンニュートラル実現のために積極的に活動する企業の一つだ。ヘルスケア事業(オムロン ヘルスケア株式会社)の拠点で国内の生産を担う松阪事業所(三重県)では、温室効果ガス排出量の削減と事業成長の両立を目指すさまざまな取り組みが進められている。

消費エネルギーを減らすことでCO2の排出を減らす。代わりとなるクリーンなエネルギーを創り出して利用する。なおも減らしきれないCO2は吸収することで、排出を実質ゼロにする──これが血圧計や体温計などの生産を担う松阪事業所のカーボンニュートラルプロジェクトだ。

同事業所では、オムロンのデータ活用基盤「i-DMP(i-BELT Data Management Platform)」を用いて稼働状況を徹底的に「見える化」する。事業所全体と製品1台あたりの温室効果ガス排出量などを可視化することで、エネルギー消費量を減らしながら生産量を増やすことをミッションとする従業員のモチベーション向上にもつながっている。

omron1.jpg

事業所全体及び製品1台あたりのCO2排出量を可視化

例えば血圧計の生産ラインでは、LCIA(Low Cost Intelligent Automation)自動機と呼ばれる機械を導入。これまで主に作業員の手で行われてきたはんだ付けも、機械に任せられるようになった。

これにより、同じ量の製品を1ライン減らして生産できるようになり、空いた空間の照明・空調の省エネに生かしている。さらに照明や空調の人感センサによる自動制御にも取り組んでいる。

こうした施策は、「機械にできることは機械に任せ、人間はより創造的な分野での活動を楽しむべき」という創業者・立石一真氏の唱えた経営理念を反映したものでもある。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米関税の影響、かなりの不確実性が残っている=高田日

ワールド

タイ経済成長率予測、今年1.8%・来年1.7%に下

ワールド

米、半導体設計ソフトとエタンの対中輸出制限を解除

ワールド

オデーサ港に夜間攻撃、子ども2人含む5人負傷=ウク
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索隊が発見した「衝撃の痕跡」
  • 3
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 4
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 5
    米軍が「米本土への前例なき脅威」と呼ぶ中国「ロケ…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しない…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中