最新記事
BOOKS

20円の物を収蔵し、100万円の物を収蔵しない? 国立民族学博物館の収蔵庫で考えた「物の価値」とは【民博特集3/4】

2025年9月30日(火)10時30分
ミンパクチャン

文化庁は博物館の基本方針として、資料を未来永劫保管することを掲げている(※ただし民博は文化庁ではなく文部科学省に属する)。維持費用の問題はあるが、コレクションを後世につなげていくことが博物館の使命なのだ。その姿勢は民博でももちろん変わらない。

民博の収蔵庫の規模は博物館のなかでもとりわけ大きく、収蔵する資料点数も桁外れに多い。民族学のコレクションとしては世界最大級である。受け入れた物を、資料として登録し、保存し、未来に残していく。その姿勢はこれからもずっと変わらない。


災害に害虫...終わりなき戦い

収蔵庫を日々管理している西澤さんに苦労話を聞いてみた。

「こんなに厳しく管理されているわけですが、それでもやはりトラブルってあるんですか? 資料を破損してしまったり......」

「トラブルはどうしても起きてしまいますね。人為的な事故もあれば自然の事故もあります。阪神・淡路大震災や大阪北部地震では、ここも被害を受けて壊れた物もありました。水漏れが起きて濡れてしまったりということもありました」

震災や何かしらの災害で大規模停電が起きても、1〜2日はバックアップで空調を維持できる。建物の点検で電気を止めるような場合も、作業は1日で終わらせるようにしているそうだ。収蔵庫では定期的な資料の確認作業が行われている。各収蔵庫で年にいちどの大掃除を実施し、そのときにすべての棚をくまなく確認する。

「資料を1点ずつ細かく掃除することはできません。もともとの汚れはその資料が持つ情報でもあるし、汚れといっても簡単に判断できないんです」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

お知らせ=重複記事を削除します

ワールド

ハンガリーとウクライナ、ニュースサイトへのアクセス

ビジネス

米製薬業界団体、安価な医薬品の直接販売でサイト開設

ビジネス

氷見野日銀副総裁、10月21日午後1時20分から都
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけではない...領空侵犯した意外な国とその目的は?
  • 2
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から思わぬものが出てきた...患者には心当たりが
  • 3
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒りの動画」投稿も...「わがまま」と批判の声
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    シャーロット王女の「視線」に宿るダイアナ妃の記憶.…
  • 6
    マシンもジムも不要だった...鉄格子の中で甦った、失…
  • 7
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 8
    カーク暗殺の直後から「極左」批判...トランプ政権が…
  • 9
    【クイズ】身長272cm...人類史上、最も身長の高かっ…
  • 10
    英国王のスピーチで「苦言チクリ」...トランプ大統領…
  • 1
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 2
    日本の小説が世界で爆売れし、英米の文学賞を席巻...「文学界の異変」が起きた本当の理由
  • 3
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒りの動画」投稿も...「わがまま」と批判の声
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 6
    コーチとグッチで明暗 Z世代が変える高級ブランド市…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中