20円の物を収蔵し、100万円の物を収蔵しない? 国立民族学博物館の収蔵庫で考えた「物の価値」とは【民博特集3/4】
文化庁は博物館の基本方針として、資料を未来永劫保管することを掲げている(※ただし民博は文化庁ではなく文部科学省に属する)。維持費用の問題はあるが、コレクションを後世につなげていくことが博物館の使命なのだ。その姿勢は民博でももちろん変わらない。
民博の収蔵庫の規模は博物館のなかでもとりわけ大きく、収蔵する資料点数も桁外れに多い。民族学のコレクションとしては世界最大級である。受け入れた物を、資料として登録し、保存し、未来に残していく。その姿勢はこれからもずっと変わらない。
災害に害虫...終わりなき戦い
収蔵庫を日々管理している西澤さんに苦労話を聞いてみた。
「こんなに厳しく管理されているわけですが、それでもやはりトラブルってあるんですか? 資料を破損してしまったり......」
「トラブルはどうしても起きてしまいますね。人為的な事故もあれば自然の事故もあります。阪神・淡路大震災や大阪北部地震では、ここも被害を受けて壊れた物もありました。水漏れが起きて濡れてしまったりということもありました」
震災や何かしらの災害で大規模停電が起きても、1〜2日はバックアップで空調を維持できる。建物の点検で電気を止めるような場合も、作業は1日で終わらせるようにしているそうだ。収蔵庫では定期的な資料の確認作業が行われている。各収蔵庫で年にいちどの大掃除を実施し、そのときにすべての棚をくまなく確認する。
「資料を1点ずつ細かく掃除することはできません。もともとの汚れはその資料が持つ情報でもあるし、汚れといっても簡単に判断できないんです」





