囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる

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<プロテインよりも睡眠が重要だった...「眠り」が変える体と脳について>
日本でも定着した「自重トレーニング」。その伝道者で元囚人、キャリステニクス研究の第一人者ポール・ウェイドによる『プリズナートレーニング外伝 監獄式ボディビルディング』(CEメディアハウス)の「PART 2 監獄ボディビルダーになるための十戒」より一部編集・抜粋。
最初の本『プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』(CEメディアハウス)が世に出たあと、監獄アスリートについての質問が洪水となって襲ってきた。鉄格子の中にいる男たちが、高密度の筋肉をどうつくり、どう維持しているのかという質問も多かった。
プロテイン漬けになりながらピカピカのマシンと格闘しても筋肉がまともについてこない都会の男たちにとって、それは、とても興味をそそるテーマのようだ。
理由はたくさんある。食事と労働がルーチン化されていること。監獄内でサバイバルしていくことが課題になるため、モチベーションの維持が容易なこと。誘惑が少ない環境であることも理由になるだろう。
しかし、もっと大きな理由がある。わたしはこれまでステロイドに代わるものがないか何度も質問を受けてきた。答えはいつも同じ。「睡眠」だ。眠りに落ちると、脳からパフォーマンス向上薬をつくれという命令が体に向かって発せられ、その産生が始まるからだ。
囚人は王のように眠る。いつも言うように囚人生活を賛美しているわけではないが、王のように眠る生活がそこにはある。
鉄格子の中に入ったら最後、灯りが消えたら寝るしかない。眠りにつく時間が毎日同じで、寸分の狂いもない。