アヤワスカが「観光ビジネス」になるまで...「ヒーリング」か「搾取」か? 霊薬に群がる現代人の欲望とは
PERU-AYAHUASCA/ REUTERS/Enrique Castro-Mendivil (PERU)
<偽シャーマンにご用心。シャーマン自らが語る、ジャングルに広がる「スピリチュアルビジネス」の実態について>
世界中から大きな注目を集める神聖な植物と儀式、シャーマンの世界観、シャーマニズムがもてはやされることの問題...。シャーマン自らが語った話題書『目に見えない世界の旅 ペルーのシャーマンが語る聖なる植物の癒やし』(作品社)の「第8章 シャーマンによる施術の暗部」を一部編集・抜粋。
アヤワスカツーリズムの起源は、1950年代から60年代にさかのぼる。娯楽目的の薬物使用が欧米社会のあらゆる方面に浸透しはじめ、世界中の旅行者が新たなエキゾチック体験を求めてアメリカ国境以南の国々を訪れるようになった時代だ。
アレン・ギンズバーグやウィリアム・バロウズといったビートジェネレーションの作家たちは、アヤワスカ、マジックマッシュルーム、サボテンを摂取し、その体験について熱く語った書簡を互いに送り合った。
1970年代になると、アメリカ国内でペヨーテやシロシビンなどの物質への需要が劇的に増加し、カルロス・カスタネダが呪術師ドン・ファンを題材として書いた一連の著作がベストセラーリストの常連となる中、「シャーマニズム」は一般の人々の間で注目度の高いワードとなっていった。
近年、アヤワスカの薬効に関するニュースがメディアやインターネットを通じて広まったことをきっかけに、世界中から何万人もの人々が治癒を求めて中南米の熱帯雨林地域を訪れている。そして当然ながら、
先進国が抱える諸問題から解放されたいと願う裕福な外国人が発展途上国に押し寄せれば、そこには例外なく、詐欺師や不当な利益を得ようとする者たちが集まってくる。
貧困から抜け出す手段を見出した何千人もの農民や村人たちが、現在、先祖代々受け継いできた土地を離れてにぎやかなアマゾンの街に移り住み、大量生産されたペルーの「工芸品」を販売している。
同時に、シャーマニズムの儀式を専門とするロッジやホテルが、アマゾン地域の都市や、ジャングルの小さな街に続々と建設され、裕福な外国人に高額な「儀式体験付きの休暇」を提供している。
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