アヤワスカが「観光ビジネス」になるまで...「ヒーリング」か「搾取」か? 霊薬に群がる現代人の欲望とは
これらのロッジの中には、伝統的なスタイルで建てられたものもあれば、超近代的なものもある。華やかな装飾が施されたスイートルーム、マッサージ台、プールやスパ、バーやレストランなどを備えた豪華な施設も増えており、それらは霊的な隠れ家というよりも、むしろ高級リゾートに近い。
政府も地方自治体も、投機家に対し、こうした宿の開業と運営について法的許可を申請することを求めておらず、また、シャーマンがほんものであるかどうかについての審査を義務づける法律もない。
一部には、ブログや雑誌記事、ウェブサイト、自作のYouTube動画を利用して、欧米やアジアからの観光客を誘い込み、だれもが手軽に体験できる簡素化した「手軽なシャーマニズム」を提供することに特化している施設もある。
過去25年間で、かつてはアマゾンの辺境の地であったイキトス、プカルパ、タラポトなどのジャングルの街では、金融活動が驚くほど増加し、多くの村人たちが資本家へと変貌を遂げた。飛行機や船で続々とやってくる大勢の観光客のおかげで、こうした場所ではビジネスが活況を呈している。
多くの街では、到着したばかりの人々に、レストランの店主やタクシー運転手、歩道で客引きをする商人が声をかけ、地元の呪術師を紹介したり、商業的にパッケージ化されたアヤワスカの煎じ薬を売りつけたりしている光景が日常となっている。
さらには、「シャーマンの店」を謳う店舗も存在し、そこではアヤワスカなどの幻覚作用のある植物を混合した液体を入れた容器が、酒屋のボトルのように棚に並べられている。
商業的なアヤワスカ施設で働くクランデロたちは、一般に伝統的な霊的ヒーリングに精通しており、多くの者が人々を助けたいという真摯な思いを持っている。
しかし憂慮すべきは、経験不足の初心者どころか、まったくの偽物のクランデロが増えていることだ。