最新記事
シャーマニズム

アヤワスカが「観光ビジネス」になるまで...「ヒーリング」か「搾取」か? 霊薬に群がる現代人の欲望とは

2025年7月27日(日)10時00分
ハチュマク(シャーマン)

これらのロッジの中には、伝統的なスタイルで建てられたものもあれば、超近代的なものもある。華やかな装飾が施されたスイートルーム、マッサージ台、プールやスパ、バーやレストランなどを備えた豪華な施設も増えており、それらは霊的な隠れ家というよりも、むしろ高級リゾートに近い。

政府も地方自治体も、投機家に対し、こうした宿の開業と運営について法的許可を申請することを求めておらず、また、シャーマンがほんものであるかどうかについての審査を義務づける法律もない。


一部には、ブログや雑誌記事、ウェブサイト、自作のYouTube動画を利用して、欧米やアジアからの観光客を誘い込み、だれもが手軽に体験できる簡素化した「手軽なシャーマニズム」を提供することに特化している施設もある。

過去25年間で、かつてはアマゾンの辺境の地であったイキトス、プカルパ、タラポトなどのジャングルの街では、金融活動が驚くほど増加し、多くの村人たちが資本家へと変貌を遂げた。飛行機や船で続々とやってくる大勢の観光客のおかげで、こうした場所ではビジネスが活況を呈している。

多くの街では、到着したばかりの人々に、レストランの店主やタクシー運転手、歩道で客引きをする商人が声をかけ、地元の呪術師を紹介したり、商業的にパッケージ化されたアヤワスカの煎じ薬を売りつけたりしている光景が日常となっている。

さらには、「シャーマンの店」を謳う店舗も存在し、そこではアヤワスカなどの幻覚作用のある植物を混合した液体を入れた容器が、酒屋のボトルのように棚に並べられている。

商業的なアヤワスカ施設で働くクランデロたちは、一般に伝統的な霊的ヒーリングに精通しており、多くの者が人々を助けたいという真摯な思いを持っている。

しかし憂慮すべきは、経験不足の初心者どころか、まったくの偽物のクランデロが増えていることだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ安全保証、西側部隊のロシア軍撃退あり得る

ビジネス

半導体製造装置販売、AIブームで来年9%増 業界団

ワールド

アルミに供給不安、アフリカ製錬所が来年操業休止 欧

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中