アヤワスカが「観光ビジネス」になるまで...「ヒーリング」か「搾取」か? 霊薬に群がる現代人の欲望とは
彼らは半端な訓練しか受けていない儲け主義者であり、自分の小屋を骸骨や不気味なアートで飾り立て、魂を癒やすというよりも、むしろ頭の中で光のショーを引き起こすように調合された、幻覚作用のある植物の混合物を提供する。
何世紀もの間、ペルーにおけるクランデロの教育は、過酷で命を脅かすような試練を伴うものであり続けた。しかし現在、状況は変わりつつある。
完全な偽物のほかにも、治療者(メディスンピープル)を自称する人々が存在し、彼らは一年ほどこの「クラフト」の基本を学んだだけで、アヤワスカ施設に雇われていく。
基本的な技術をいくつか知っているだけのこうした半人前の進行役(ファシリテーター)たちは、訓練をまったく受けていない人たちよりも害を及ぼすことが多い。
浅い知識というのは危険なものであり、未熟な進行役が、熟練のクランデロでさえ困難に感じるような複雑な治療や呪文の除去を試みるという状況が引き起される。
偉大なるアマゾン川全域において、シャーマニズムの実践が、われわれの「クラフト」の歴史ではこれまで見られなかったような形で損なわれつつある。
これは、多くの南米の人々にとって非常に憂慮すべき現実だ。アメリカ先住民の指導者であったジャネット・マクラウドはかつてこう書いている。
「彼らはまずわれわれの土地と水を奪いに来た。次に、われわれの鉱物資源を欲しがった。そして今、彼らはわれわれの宗教をも奪おうとしている」
ここからのセクションでは、アヤワスカを試したいと思っている人々が、よい実践と悪い実践とを見分け、何を避け、何を採り入れるべきかを理解する助けとなる情報を提供したいと思う。
ハチュマク(Hachumak)
スペイン系ペルー人。リマの中華街で中国気功の施術者として治療師のキャリアをスタートさせた。ペルー北部で高齢者を対象に治療を行なう。この間、先住民のシャーマン、魔女、薬草商のもとで、古代の癒やしの技術についての教えを受ける。現在はアマゾン川に面した密林に施設を構え、薬用植物の栽培、密林の動物の救助、少人数グループでのアヤワスカの儀式、一対一での伝統的なヒーリングセッションなどを行なっている。真のシャーマニズムの技術と儀式について発信し、ペルーの雨林と文化を破壊しているアヤワスカを売りにした安易なツーリズムに対抗することを目指している。ハチュマクはシャーマンとしての名前であり、本名はホルヘ・フローレス・アラオス。
『目に見えない世界の旅 ペルーのシャーマンが語る聖なる植物の癒やし』
ハチュマク、デビッド・L・キャロル[著]
北村京子[訳]
作品社[刊]
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)