最新記事
シャーマニズム

アヤワスカが「観光ビジネス」になるまで...「ヒーリング」か「搾取」か? 霊薬に群がる現代人の欲望とは

2025年7月27日(日)10時00分
ハチュマク(シャーマン)

彼らは半端な訓練しか受けていない儲け主義者であり、自分の小屋を骸骨や不気味なアートで飾り立て、魂を癒やすというよりも、むしろ頭の中で光のショーを引き起こすように調合された、幻覚作用のある植物の混合物を提供する。

何世紀もの間、ペルーにおけるクランデロの教育は、過酷で命を脅かすような試練を伴うものであり続けた。しかし現在、状況は変わりつつある。


完全な偽物のほかにも、治療者(メディスンピープル)を自称する人々が存在し、彼らは一年ほどこの「クラフト」の基本を学んだだけで、アヤワスカ施設に雇われていく。

基本的な技術をいくつか知っているだけのこうした半人前の進行役(ファシリテーター)たちは、訓練をまったく受けていない人たちよりも害を及ぼすことが多い。

浅い知識というのは危険なものであり、未熟な進行役が、熟練のクランデロでさえ困難に感じるような複雑な治療や呪文の除去を試みるという状況が引き起こされる。

偉大なるアマゾン川全域において、シャーマニズムの実践が、われわれの「クラフト」の歴史ではこれまで見られなかったような形で損なわれつつある。

これは、多くの南米の人々にとって非常に憂慮すべき現実だ。アメリカ先住民の指導者であったジャネット・マクラウドはかつてこう書いている。

「彼らはまずわれわれの土地と水を奪いに来た。次に、われわれの鉱物資源を欲しがった。そして今、彼らはわれわれの宗教をも奪おうとしている」

ここからのセクションでは、アヤワスカを試したいと思っている人々が、よい実践と悪い実践とを見分け、何を避け、何を採り入れるべきかを理解する助けとなる情報を提供したいと思う。


ハチュマク(Hachumak)
スペイン系ペルー人。リマの中華街で中国気功の施術者として治療師のキャリアをスタートさせた。ペルー北部で高齢者を対象に治療を行なう。この間、先住民のシャーマン、魔女、薬草商のもとで、古代の癒やしの技術についての教えを受ける。現在はアマゾン川に面した密林に施設を構え、薬用植物の栽培、密林の動物の救助、少人数グループでのアヤワスカの儀式、一対一での伝統的なヒーリングセッションなどを行なっている。真のシャーマニズムの技術と儀式について発信し、ペルーの雨林と文化を破壊しているアヤワスカを売りにした安易なツーリズムに対抗することを目指している。ハチュマクはシャーマンとしての名前であり、本名はホルヘ・フローレス・アラオス。


newsweekjp20250724121648.png


 『目に見えない世界の旅 ペルーのシャーマンが語る聖なる植物の癒やし

 ハチュマク、デビッド・L・キャロル[著]
 北村京子[訳]
 作品社[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国こそが「真の脅威」、台湾が中国外相のミュンヘン

ワールド

米中「デカップリング論」に警鐘、中国外相がミュンヘ

ビジネス

ウォルマート決算や経済指標に注目、「AIの負の影響

ワールド

ドバイ港湾DPワールドのトップ辞任、「エプスタイン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活動する動画に世界中のネット民から賞賛の声
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 10
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 10
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中