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40歳を過ぎても太りにくい人には理由がある──コーヒーで変わる体質、「ベージュ脂肪細胞」の正体とは

2025年7月22日(火)13時01分
池谷敏郎(池谷医院院長、医学博士)*PRESIDENT Onlineからの転載

白色脂肪細胞の「ベージュ化」を促す

ただし、個人差は大きい。私は食べるとてきめんに太るタイプですが、妻は食べても太らない体質です。そして、同じ空間にいても、妻は「暑い」と言うことが多く、背中に触れると温かい。褐色脂肪細胞は、鎖骨や肩甲骨のまわりにあるので、妻はきっと褐色脂肪細胞が多いのです。

以前から妻のことをうらやましく思っていましたが、食べても太りにくい、うらやましい体質の大きな一因が褐色脂肪細胞にあるのではないか、と最近では考えられています。

 


そして、ここからが肝心です。多くの人は60歳になると褐色脂肪細胞はほとんどなくなってしまうのですが、ある刺激で、普通の白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞のように、脂肪を分解して燃やす働きをし始めることがわかってきたのです。こうした変身を「ベージュ化」といい、ベージュ化した白色脂肪細胞を「ベージュ脂肪細胞」といいます。

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『「100年血管」のつくり方』(青春出版社)より

中性脂肪をため込む白色脂肪細胞から、脂肪を燃焼するベージュ脂肪細胞へ――。ベージュ化を促すスイッチとなる刺激はいくつか判明していて、そのひとつがコーヒーのトリゴネリンなのです。

「トリゴネリン」入りを選ぶといい

ただし、どんなコーヒーでもいいわけではありません。コーヒーのトリゴネリンは、焙煎すると減っていくので、一般のコーヒーにはほとんど含まれていません。そのため、トリゴネリンがちゃんと残るように浅く焙煎しつつ、おいしさも損なわれないような、うまいバランスが求められるのです。

私は「UCC&Healthy スペシャルブレンド」が好きですが、いくつかのメーカーが独自の製法でトリゴネリン入りのコーヒーを販売しています。せっかくコーヒーを飲むなら、白色脂肪細胞のベージュ化も狙いたいですね。

そのほか、ベージュ化を促すスイッチとしてわかっているのは、食べ物では唐辛子の辛み成分のカプサイシン、ミントに含まれるメントール、緑茶のカテキン、EPA、DHAなど。生活習慣では、寒冷刺激や運動も、白色脂肪細胞のベージュ化を促す刺激となります。

ただし、寒さを感じると血管が縮み上がり、血圧が上がるので、寒冷刺激はほどほどに。ぜひ取り入れてほしいのは、やっぱり運動です。

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