コレステロールが老化を遅らせていた...スーパーエイジャーの「長寿体質の秘密」とは?

2025年3月21日(金)08時50分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

わたしは、それについて最初に調べた3つの研究のうちの1つの論文著者である。その研究で、スタチンを飲んでいる人はそうでない人より、2型糖尿病になるリスクが30%高まることがわかった。さらにある研究では、スタチンの使用で自殺の可能性も高まることが示された。

また、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を下げすぎると、脳内のニューロンに悪影響を及ぼす心配もある。体内でもっともコレステロールを豊かに含む細胞だからだ。極端に低いLDL(悪玉)値は出血性脳卒中と関係があると最近わかってきたが、文献ではたいていマイナスの影響については触れていない。


 

コレステロールがもたらす長寿の秘密を解く

長寿遺伝子プロジェクトのためにセンテナリアンを探しはじめたとき、わたしたちは毎年受ける健康診断と同じような基本的な検査を行った。

電解質や血糖値の測定、腎臓機能のチェック、脂肪パネルのための採血などだ。さまざまな人を調べると、男性のHDL(善玉)コレステロール値は平均約45㎎で、女性は平均約55㎎だった。ところが、センテナリアンの子のHDL(善玉)値は、100㎎を超えることがあったのだ!

センテナリアン自身のHDL(善玉)値は50㎎ 台で、高くないように見えるが、HDL(善玉)値は中年期から8年に5ポイントずつ下がっていくことを計算に入れると、センテナリアンのHDL(善玉)値は20㎎ぐらいのはずだ。

このデータについて興味深い話がある。一般の人々のHDL(善玉)値を測ると、全年齢の平均はいつも男性で約45㎎、女性で約55㎎になるのだ。

高いHDL(善玉)値と並はずれた長寿に関係があることは明らかだが、なぜそうなるのかがわからなかった。それを突きとめるため、センテナリアンの血液をさらに詳しく調べはじめた。対照群の血液とどのように違うのだろう?

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の過半数が支持=ロイター

ビジネス

シンガポールのテマセク、事業3分割を検討=ブルーム

ビジネス

アングル:ドル高に不足感、米関税にらみ輸出企業動け

ビジネス

中国・百度、第2四半期は4%減収 広告市場の低迷続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中