アングル:ドル高に不足感、米関税にらみ輸出企業動けず イベント通過で変化か

8月20日、米国の関税の影響や日米金融政策の先行きが不透明な中、日本企業による下期の為替予約の判断が難しくなっている0。写真は米ドル紙幣と米国の旗のイメージ。2017年6月撮影(2025年 ロイター/Thomas White)
Atsuko Aoyama
[東京 20日 ロイター] - 米国の関税の影響や日米金融政策の先行きが不透明な中、日本企業による下期の為替予約の判断が難しくなっている。輸出企業が関税分を価格転嫁できない場合は、ドル高が緩衝材になり得るが、足元のスポット(直物)相場の水準は想定レートの確保にも十分ではなく、ドル売り予約が活発化していないとの観測がある。予約の集中期に差し掛かるなか、企業が二の足を踏んでいる様子がうかがえるという。
<為替予約、145円着地なら148円以上が必要>
輸出企業は、為替の変動リスクを回避し、業績への影響を抑えるために為替予約を利用している。 今期の業績予想では、トヨタ自動車をはじめ1ドル145円程度を想定為替レートに置く企業が多い。下期も引き続き今期145円の前提が維持された場合、輸出勢のドル売り予約が進むめどとしては、金利差を考慮して「スポット相場でドル148円以上」(国内銀行の為替セールス担当者)が意識されているという。 足元のドルのスポット相場は147円半ばから147円後半と、140円を割り込んだ4月からはドル高/円安方向で推移している。ただ、為替の先物予約では、日米金利差などを反映させたディスカウント分を考慮する必要があり、足元の相場のディスカウントは、例えば年末まで手当てすると約2円になる計算だ。現在のスポット価格は、計画通りの業績を確保するための予約を出せる下限ぎりぎりの水準で、多くの企業が通期の前提為替レートを確定する昨年末から今年2月までの150円台─158円台での推移に比べると、大幅にドル安/円高の水準と言える。 こうした中、ドルの一段安を見越して現時点でドル売り予約を入れる企業もあれば、ドル上昇の余地があるとして見極めたい企業もあり、企業の対応も一枚岩ではないという。
<緩衝材に期待、予約回避も>
企業が先行きを読みにくくなっている要因の一つは、日米で合意したばかりの米関税の企業業績に対する影響だ。自動車関税は引き下げの時期も明確でなく、為替レートの先行きと合わせて企業は難しい判断を迫られる。 市場では「仮に関税負担分を為替レートで調整する場合、より円安の水準で予約を確保せざるを得なくなってくるかもしれない」(三井住友銀行市場営業部為替トレーディンググループの納谷巧グループ長)との声がある。 このため、社内レートを維持しつつ「積極的に(ドルの)上値を追う動きが想定される」(前述の国内銀の為替セールス担当者)が、前提レートの確保が微妙な現在の水準では身動きの取れない企業もあるという。 また、工場建設などの対米投資はドル資金が必要となることを踏まえ、本来なら円に転換するはずの資金を「ドルのままプールする可能性」(三井住友銀の納谷氏)もあるという。 関税の影響で「売り上げが落ち込めば、為替予約を取る量が減る可能性もある」(あおぞら銀行チーフ・マーケット・ストラテジストの諸我晃氏)との見方もある。
SMBC日興証券の集計では、TOPIXを構成する3月決算企業1020社(1143社から未発表の23社を除く)の2026年3月期の売上高は0.3%の増収予想だが、製造業だけに絞ると、0.6%の減収となる。
<イベントが契機か> 今後の為替予約の方向性については、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が1つのポイントとなり得る。イベント通過後には為替水準だけでなく、企業の為替予約行動も変化する可能性があるからだ。また、特に為替予約に占める規模が大きい自動車分野への関税引き下げの時期が明確になるなど、「不透明感が晴れれば動きやすくなる」(前述の国内銀の為替セールス担当者)との見方がある。
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