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朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞が浄化される「オートファジー」とは何か?

2025年2月16日(日)09時55分
デイヴ・アスプリー(起業家、投資家、「ブレットプルーフ」創設者)

そのしくみは複雑でいまなお検証が続いているが、ファスティングがあなたの体を、分子レベルでより効率的かつ円滑に機能させることを明らかにする研究は増える一方だ。

たとえば、日本人生物学者のグループの2019年の発表では、58時間の断食──マウスでなく、人間の!──は、脂肪を分解しタンパク質構造を制御する化学経路に関与する44種の化合物の血中濃度を高めた[*3]という。


 

断続的ファスティングは、強力な抗老化分子、ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)に影響を及ぼすことが証明されている。活性型NADはNAD+と呼ばれ、体内の化学反応がスムーズに進むように電子を伝達するという、一見単純に思える役割をもつ。

だが、この小さな分子はじつによく働く。NAD+のおかげで細胞はエネルギーを生成できるほか、NAD+はDNAのダメージ修復を助け、知的機能の低下を防ぐ鍵となる正常なタンパク質形成を促し、老化を進行させる大きな要因のひとつである容赦ない酸化ストレスから細胞を守る。

断続的ファスティングには、NAD+の血中濃度を高める効果がある。やったほうがいい。冗談抜きで。

ファスティングの生物学的利点に関しては、ひとつの文献をなんとか読み終えたと思ったら、そのそばから新しい情報が入ってくるので驚かされる。マサチューセッツ工科大学(MIT)が発表した最新の研究[*4]は、24時間の断食により幹細胞の再生能力が大幅に向上することを明らかにした。

また、脳内に新たに生まれたニューロンの成長を促し、刺激に対する脳の適応能力を強化するようだ。そればかりか、断食は腸内に存在するバクテリアなどの微生物群の生態系である腸内細菌叢(マイクロバイオーム)にもよい働きをする。

断食によってえさを与えられないと、腸内細菌は空腹時誘導脂肪因子と呼ばれるホルモンを分泌する。このホルモンが脂肪の蓄積をストップして燃やしはじめるよう体に指示を出すのだ。

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