最新記事
健康

朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞が浄化される「オートファジー」とは何か?

2025年2月16日(日)09時55分
デイヴ・アスプリー(起業家、投資家、「ブレットプルーフ」創設者)

ほとんどのケースで、前述したファスティングの効果を得るのに、食べ物を完全に断つ必要はない。2014年、僕は断続的ファスティングに苦もなくゆっくり慣れていけるようにするための、特別な方法について書いた[*5]。

それを実践した人たちが落とした体重を合計すると、45万3592㎏になる。16:8ファスティング(編集部注:16時間ファスティング)に似た方法だが、決定的に違う点がある。


 

僕のやり方では、固形食を摂らない期間は、朝に「完全無欠(ブレットプルーフ)コーヒー」を飲む。これには脂肪が含まれているので、いつもの食事を断っても空腹を感じず、インスリン値とタンパク質代謝を抑制し続けることができる。

「バターMCTコーヒー断続的ファスティング」なんて気が利かないと思い、その方法を「完全無欠断続的ファスティング」と名づけてから10年以上がたつ。その有効性により時を経ても生き残り、僕の解説動画の再生回数は10万回を超える。

「完全無欠断続的ファスティング」では、摂取する脂肪の種類が重要だ。コーン油、大豆油、キャノーラ油、種子油には、炎症をはじめ望ましくない結果を引き起こす不安定な脂肪が含まれている。

牧草飼育(グラスフェッド)バターと中鎖脂肪酸(MCT)オイルのほうがうんと体にいい(MCTはmedium-chain triglycerideの略で、相対的に小さいため体に速やかに吸収され、エネルギーになりやすい脂肪分子のこと)。「完全無欠コーヒー」に入れるこれらの脂肪は、この10年僕の食生活になくてはならないものだった。

「完全無欠断続的ファスティング」なら、断食のインスリン安定化とオートファジーのメリットを有効にしつつ、それ以外のあまりうれしくない体への影響、そう、断食を始めたばかりでまだ体が適応できていないときに感じやすい、空腹と怒りに対処することができる。

それを引き起こすのは「爬虫類脳」と言われる脳の領域だ。爬虫類脳と格闘して自制心を保つのに多大なエネルギーを費やしてもいいし、一杯のクリーミーなコーヒーでそれを黙らせ、もっとだいじなことのためにエネルギーをとっておいてもいい。いずれにせよ、体にとっては断食したことに変わりはない。

僕が研究と実験を何度も重ねて編み出した、誰にでも効果的な方法でファスティングを始めることをおすすめする。朝起きたら、一杯の「完全無欠コーヒー」を飲もう。レシピはブラックコーヒーにグラスフェッドバター大さじ1杯、「C8 MCTオイル」小さじ1、2杯。どんなラテよりもおいしいはずだ。


【参考文献】
[*1] Danielle Glick, Sandra Barth, and Kay F. Macleod, "Autophagy: Cellular and Molecular Mechanisms," Journal of Pathology 221, no. 2( May 2010): 3-12.
[*2]Mehrdad Alirezaei et al., "Short-Term Fasting Induces Profound Neuronal Autophagy," Autophagy 6, no. 6(August 2010): 702-10.
[*3]Takayuki Teruya et al., "Diverse metabolic reactions activated during 58-hr fasting are revealed by nontargeted metabolomic analysis of human blood," Scientific Reports 9, no. 854 (2019).
[*4] Maria M. Mihaylova et al., "Fasting Activates Fatty Acid Oxidation to Enhance Intestinal Stem Cell Function During Homeostasis and Aging," Cell Stem Cell 22, no. 5 (May 2018): 769-78,(18)30163-2.
[*5] Dave Asprey, The Bulletproof Diet: Lose Up to a Pound a Day, Reclaim Energy and Focus, Upgrade Your Life( New York: Rodale Books, 2014)(デイヴ・アスプリー、『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』、栗原百代訳、ダイヤモンド社、2015年)


デイヴ・アスプリー(Dave Asprey)
起業家、投資家、シリコンバレー保健研究所会長。「ブレットプルーフ」創設者。カリフォルニア大学サンタバーバラ校卒業。ウォートン・スクールでMBAを取得。シリコンバレーのIT業界で成功するも肥満と体調不良に。その体験から医学、生化学、栄養学の専門家と連携して膨大な数の研究を統合し、100万ドルを投じて心身の能力を向上させる方法を研究。バターコーヒー(ブレットプルーフ・コーヒー)を考案し、ダイエットに成功した体験を『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』(ダイヤモンド社)にまとめ、世界的ベストセラーとなる。ニューヨーク・タイムズ、フォーブス、CNNなど数多くのメディアで活躍中。著書に『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』『シリコンバレー式超ライフハック』(ともにダイヤモンド社)など多数。


newsweekjp20250207062936-b38dc049130a5743b0eaf36672c485bfb49b0c29.png

シリコンバレー式 心と体が整う最強のファスティング
 デイヴ・アスプリー[著]/安藤 貴子[訳)]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


ニューズウィーク日本版 ガザの叫びを聞け
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月2日号(11月26日発売)は「ガザの叫びを聞け」特集。「天井なき監獄」を生きる若者たちがつづった10年の記録[PLUS]強硬中国のトリセツ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:「AIよ、うちの商品に注目して」、変わる

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 A

ビジネス

ANA、国内線65便欠航で約9400人に影響 エア

ワールド

アングル:平等支えるノルウェー式富裕税、富豪流出で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 7
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中