ドラマ版『エイリアン』には『ブレードランナー』的な魅力が――リドリー・スコットのDNAを継ぐ「非情」の世界
Mean and Honest Alien Franchise
ホーリーは『ブレードランナー』を思わせる切ないおとぎ話として、『アース』を構想した。新たな要素を盛り込みつつ、シリーズを貫く最も重要な幹である非情さは犠牲にしていない。容赦ない非情さこそがシリーズの魂だ。
『エイリアン』にハッピーエンドは存在しない。死闘を生き延びた女(時に男)は、生と死のはざまで宙ぶらりんのまま結末を迎える。人類は決して崇高な存在ではない。
シリーズ史上最凶の変容
スコットがこうした暗黙のメッセージを前面に押し出したのが2012年の前日譚『プロメテウス』だった。SFというより宗教的寓話の色合いが強いこの映画で、主人公の考古学者エリザベス(ノオミ・ラパス)は人類の創造主に会おうと宇宙に旅立つ。
その旅の起点と終点には、人間の生死になどまるで頓着しない自然のむごさがある。
エリザベスは幼い頃父をエボラ熱で失った経験から人間の自然支配がいかにもろいかを痛感し、キリスト教を信仰している。
やがて望みどおり人類の起源に関わる異星人に出会うが、異星人はあっさり彼女を殺そうとする。彼らにとって人類は獲物でしかない。
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