ドラマ版『エイリアン』には『ブレードランナー』的な魅力が――リドリー・スコットのDNAを継ぐ「非情」の世界
Mean and Honest Alien Franchise

物語のカギを握るウェンディは人工の体に人間の少女の意識を注入した「ハイブリッド」 ©2025 FX PRODUCTIONS, LLC. COURTESY OF FX NETWORKS AND HULU
<人間の弱さと傲慢を容赦なく照射する『エイリアン:アース』は本家に忠実な良作――(ネタバレなし・レビュー)>
ドラマ『エイリアン:アース』(ディズニープラス スターで独占配信中)は、これまでの『エイリアン』シリーズが結末で描いてきた場面から幕を開ける。
宇宙船の乗組員たちが、最初から殺される運命だったことを悟る。雇い主の企業にとっては積み荷の怪物を地球に運ぶことが最優先で、貧しい乗組員は使い捨て。彼らは自然界でも人間社会でも食物連鎖の底辺にいる。
『アース』の第5話で制作のノア・ホーリーは時間を巻き戻し、第1話で地球に墜落した深宇宙探査船マジノ号内の惨劇を描く。リドリー・スコット監督が築いた堅固な骨組みを改造し、独自の『エイリアン』を展開する。
「宇宙では誰にも...」という第5話のタイトルは、オリジナルの宣伝文句「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」をもじったものだ。
ちゃっかりしているようだが、『エイリアン』の世界では当たり前。この作品群はコミックやゲームを含め、基本のモチーフをリミックスしながら新たな魅力を生み出してきた。『エイリアン』らしさを保ったまま大胆に再解釈を加えるのが、強みなのだ。