ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44%減 50年ぶり低水準
ロシアのトルコストリーム・ガスパイプラインの延長工事現場、2020年ブルガリアで撮影 REUTERS/ Stoyan Nenov
Oksana Kobzeva
[モスクワ 30日 ロイター] - パイプラインを経由したロシア産ガスの欧州向け輸出が今年、前年から44%減少し、1970年代中盤以来の低水準となったことが、ロイターの試算で30日明らかになった。ウクライナ経由の輸出が停止した上、欧州連合(EU)がロシアからの化石燃料の輸入を段階的に減らしていることが原因。
EUは2027年末までロシア産ガスの輸入を全面停止すると表明している。ロシアへのエネルギー依存を解消し、ロシアが欧州からのエネルギー売り上げをウクライナ侵攻に使うのを防ぐ狙いだ。
1960年代から70年代にかけてソ連と西欧との間にパイプラインが建設され、ロシアの石油・ガス販売による歳入において欧州はかつて最大のシェアを占めていた。
以前は、1960年代から1970年代にかけてソ連から西ヨーロッパに建設されたパイプラインに基づき、ヨーロッパは石油とガスの販売によるロシアの最大の予算収入源だった。
ロシアのパイプライン経由の欧州向け輸出は18〜19年の年間1750億〜1800億立方メートルがこれまでの最高記録。ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムに多くの収入をもたらした。しかしロイターが欧州ガス系統運用者ネットワーク(ENTSOG)のデータに基づき試算したところ、今年の同社の欧州向けガス供給は180億立方メートルに過ぎず、70年代前半以来の低水準だった。
ウクライナが同国経由のガス輸送契約を更新せず、今年1月1日に期限切れとなってから、ロシアの欧州向けガス輸送ルートは「トルコストリーム」海底パイプラインのみ。トルコのほか、セルビア、ハンガリー、スロバキアなどの国々がこのルートでロシア産ガスを輸入している。
ロシアは液化天然ガス(LNG)という形でタンカーでも欧州にガスを輸出しており、EUへの供給量では米国に次ぐ2位につけている。





