晩餐会と「ご婦人方のベッド」を征服...19世紀に実在の「セレブシェフ」が題材の『カレーム』はバカバカしくて最高
Deliciously Preposterous
ナポレオンの妻を誘惑
だが間もなくバイイが反逆罪のぬれ衣で逮捕されると、カレームは権力者のタレーランに助けを求める。そして気付けば養父を救いたい一心で、薄汚い大公タレーランの手先となっている。
数エピソード後には邸宅の氷貯蔵室でナポレオンの妻ジョゼフィーヌを誘惑し、関係を持つ。情事の現場を押さえればジョゼフィーヌが離婚制度の維持に応じるだろうと、タレーランが謀ったのだ。意味が分からない? 大丈夫、ドラマを見ればちゃんと理解できる。
クライマックスは戴冠式
カレームはこの調子で悪巧みの片棒を次々と担がされる。その上テロ事件の犯人と誤解され、警察大臣のフーシェに付け狙われる。
『レ・ミゼラブル』のジャベール警部を思わせる警察大臣役のミーシャ・レスコ(Micha Lescot)が、実にいい。ねちっこく陰険な悪党フーシェが登場するたびにわくわくする。
監督を務めたのは映画『エッフェル塔〜創造者の愛〜(Eiffel)』のマルタン・ブルブロン(Martin Bourboulon)や、ドラマ『ジ・エディ(The Eddy)』のレイラ・マラクシ(Laïla Marrakchi)。
テンポは速く、衣装は豪華絢爛、料理は官能的に映し、セックスシーンは荒い息遣いを聞かせる程度に抑えること、というのが全体のルールだ。クライマックスのナポレオンの戴冠式で、カレームは祝宴の指揮を執る。