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香川照之、降板ラッシュよりも痛い最大の痛恨 「ヒール」は演技ではなく本当の姿?

2022年9月10日(土)11時00分
木村隆志(コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者) *東洋経済オンラインからの転載

そもそも芸能人に限らず、本当に出禁になった店があるのなら、それは異常事態。「著しいマナー違反」「暴言や暴力」「犯罪行為」など、よほどのことがなければ出禁にはならないだけに、地位や責任のある人にとっては絶対に避けなければいけない事態であり、リスク管理を甘く見ていたとしか思えません。これは「所属事務所のリスク管理が甘かった」とも言えますし、健全なマネジメントではなかったことを露呈したほか、会社としても対外的な信用を失ってしまいました。

謝罪のフレーズににじむ自尊心

その「甘く見ていた」は、今回の謝罪コメントにも表れていました。

香川さんは「THE TIME,」で、「このたびは一部週刊誌報道におきまして、私事でお騒がせをいたしまして、みなさまにご迷惑、ご心配、ご心痛をおかけし、誠に申し訳ございません。私自身、自らの行動をしっかりと深く反省し、自戒の念をきっちりと持ってあらためてまた日々をつとめていきたいと思っています」「また、与えていただける仕事に対しましては、しっかりと真摯に、マジメに、一生懸命、全力で、これまで通り挑んでいきたいと思っています」「そして何より、こうして一日をまた与えていただいていること、このことへの感謝を忘れずに過ごしてまいりたいと思います」などとコメントしました。

「私事」「私自身」「自らの行動」「自戒の念」「与えていただいている」「これまで通り挑んでいきたい」など、香川さんの言葉は一人称で自分目線ばかり。謙虚なように見えて自尊心の高さがにじみ出たフレーズ選びであり、被害者に対する言葉はありませんでした。

また、前日に所属事務所が「全ては本人の不徳の致すところであり、この度の報道で再びお相手の方に不快な思いをさせてしまうことは、痛恨の極みです」などと香川さんを断罪したことで、「これくらい謝っておけばいいだろう」という気持ちが芽生えていたのなら大問題。「示談が成立しているからテレビで被害者や詳細にはふれなくてもいいだろう」と思っていたのなら、記事を見ていない人が何の謝罪なのかわからないことも含め、視聴者を甘く見ていたとしか思えないのです。

その甘さは「THE TIME,」の制作サイドも同様で、香川さんの謝罪直後にクイズコーナーへの参加をうながしたほか、番組内の「ニュース関心度ランク」「バズったワードデイリーランキング」から香川さんのニュースを除外していました。視聴者に「それはおかしいのでは?」という疑問を抱かせるなど、番組も香川さん自身もマイナスな結果に終わってしまったのです。

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