最新記事

メンタルヘルス

適応障害で多いパターンは、相当悪化してから、あわてて心療内科を受診すること

2021年3月3日(水)16時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
心療内科

Yue_-iStock.

<もしも部下が適応障害になったら、どうすればいいのか。当事者向けと上司向けの「適応障害」本を執筆した心療内科医の森下克也氏は、悪化する前に気付くためのチェックリストがあると言う>

適応障害とは、外部環境にストレスとなる原因があり、それに長期間さらされることによって起こる、心と身体の病気のこと。「職場のうつ」と呼ばれることもある。

心療内科医として、約30年にわたって適応障害の治療に当たってきた森下克也氏は、『もしかして、適応障害?』(CCCメディアハウス)を当事者向けに上梓。そしてこのたび、その続編的な位置付けとなる『もし、部下が適応障害になったら』(CCCメディアハウス)を世に出した。

適応障害には、家族や友人など、当事者以外にも多くの人が関わっており、なかでも職場の上司の果たす役割が計り知れないほど大きいからだ。

適応障害とは、どういう病気なのか。部下が適応障害にかかってしまったとき、その兆候が見られたとき、上司は一体どう行動すればいいのか――。

具体的な事例も紹介しながら、分かりやすく書かれた『もし、部下が適応障害になったら』から、ここでは一部を抜粋し、3回に分けて掲載する(この記事は第2回)。

※抜粋の第1回:部下が適応障害? 親身に相談に乗り、仕事を減らしてあげるのが良い対応とは限らない

◇ ◇ ◇

部下の何に注目するか

一番やってはいけないのが、部下の適応障害の兆候に気づかず、または、うすうす気づいていても軽視してしまい、悪化してから、あわてて動き出すというものです。現実にはこのパターンが多く、相当悪化してから心療内科を受診するということになります。

では、部下の何に注目して見ておけばいいのでしょうか。

参考になるのが、2003年に厚生労働省が作成した「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」です。これは、労働者の最近1ヶ月の自覚症状と勤務状況から、疲労の蓄積度を4段階で計る質問表です。

本来は、労働者本人が行う自己記入式のテストですが、質問の各項目を参考に、上司の目から見てどう映るかの判断材料にすることができます。

具体的には、「直近の1ヶ月で認められる部下の体調の変化と勤務状況」に着目し、あなた自身が「ある」「ない」で判定します。「ある」が半数を超えれば「医務室要相談」としてください。各項目は、「あなたから見た印象」と「要聴取」に分けます。声かけにあたっては、後者を念頭に情報収集を行ってください。

「直近の1ヶ月で認められる部下の体調の変化と勤務状況」

①「あなたから見た印象」

□イライラしている
□不安げだ
□落ちつきがない
□身体の具合が悪そうだ
□やる気が感じられない
□疲れている
□表情が暗い
□仕事のミスが多くなった
□残業が月80時間を超えている
□不規則勤務がある

②「聴き取りからの情報」

□眠れていない
□朝起きたときから疲れている
□何らかの身体変調がある(頭痛、食欲不振など)
□仕事に対して精神的負担を感じている
□仕事に対して身体的負担を感じている
□疲れやすくなった

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

イラン戦争、市場に「テールリスク」=豪コモンウェル

ワールド

イラン、少なくとも6人の米市民拘束 交渉材料として

ビジネス

豪中銀、3月利上げあり得る 総裁「毎回ライブ会合」

ワールド

ホルムズ海峡混乱、アジア・欧州へのLNG輸出に最も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 7
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 8
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中