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「コロナ後は接待する会社が伸びる」CDOの先駆者・長瀬次英が語る飲み会の重要性

2020年9月1日(火)17時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


日本で働く多くの人が誤解していますが、実は海外のほうが上司と飲みに行く機会が多いし、ゴマすりもえげつない。なぜかというと、外資の場合、直属の上司が人事権を持っているからです。

採用や評価はもちろん、解雇さえも上司の権限で行えてしまう。なかなかシビアですよね。そして、上司以外と飲みに行く機会も非常に多い。

僕が在籍していたフェイスブックやインスタグラムでも、しょっちゅう飲み会を開催していました。これは、前回(「日本人にアルゴリズムは通用しない」元インスタグラム・長瀬次英が語る日本のSNS)言及したインフルエンサーたちにも通じますが、「直で話すことでしか人と人とのつながりは生まれない」ということを理解しているからでしょうね。

実際、フェイスブックはユーザーを会社に呼んで、直接会ってヒアリングする機会を設けています。デジタル上でユーザー情報は手に入るはずなのに、リアルの大切さを知っているからこその施策です。

こうした経験から、僕自身も社内外問わず、さまざまな人と会って話すことを大事にしてきました。

長瀬氏はその後、インスタグラム・ジャパンが軌道に乗ったタイミングで日本ロレアルに電撃移籍。

同社初のCDO、いわば「最高デジタル責任者」としてデジタル施策全般を牽引し、そのデジタルシフト改革に大きく貢献した。国内でCDOという役職ができたのは日本ロレアルが初めてで、日本初のCDOでもあったという。

そして多岐に渡る経験とキャリアが縁になり、EXILEをはじめとする人気アーティストが所属するエンターテインメント企業、LDHジャパンの執行役員兼CDOに就任。その後2019年に独立を果たした。

そんな、さまざまな企業を渡り歩き、多くの業務を執り行ってきた長瀬氏ならではの「とにかく会って話をする」ことを大切にしているこんなエピソードがある。


僕は転職した際、どの会社・どの業務においても、社員全員と会うことを心掛けてきました。

ほとんどの人は効率を考えて、一斉メールで入社の挨拶をしてそれで終わりだし、大きい会社だと、業務で関わる人以外、社内の同僚の顔さえ知らないなんてよく聞きますよね。でも僕は新しい会社に入ったら、社員みんなのことを知りたいと思うし、僕のことも知ってほしいと思う。

だから、直接会う機会を積極的に作りました。さすがに大きな会社だと全社員と1対1で会うのは難しいので、部署ごとにランチに行ったり、飲みに行ったり。とにかく全員とコミュニケーションをとりました。

結果、いろいろな人と関係性ができて、その後のやりとりがスムーズになる。何より社内に自分の仲間が増えることも大きいですよね。

おかげ様で、会社を辞めた後も、みんなと非常に良好な関係が続いています。

飲み会の重要性は社内だけにとどまらない。むしろコロナ危機の今こそ、社外の飲み会や接待が企業の成長を促すための「マーケティング」の一部だという。飲み会や接待もマーケティングとして捉える......マーケター独自の視点だ。

【関連記事】「マルチタスク」など存在しない、効率がいいのは一つのタスクに集中する「ワンタスク」

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