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メンタルヘルス

ウォーキングは、脳を活性化させ、ストレスを低下させ、つながりを感じさせる

2020年3月11日(水)16時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

でも、先延ばしと言い訳を繰り返していても、セルフケアがますます足りなくなるだけ。本気でウォーキングをしたいなら、そして、本来の自分を取り戻し、自然が与えてくれる修復力を活かしたいなら、「自分の時間」を確保することを最優先にすべきです。自分自身に誓いを立て、それを継続するしかないのです。

何もエベレストに登頂せよ、とか、国の端から端まで歩け、と言っているわけではありません。ただ「自分の時間を、自分の裁量で、自分のために使います」と宣言してほしいだけ。それだけで、人生をコントロールし、他者との間に境界線を引くという、現状ではできていない一歩を踏み出すことになるのです。今すぐ週間スケジュールにウォーキングの時間を書き入れ、その時間を死守しましょう。

■エクササイズ──20分を確保する

手始めに、2つの簡単な行動を実行してみましょう。

1つ目として、コーヒーか紅茶を用意し、何もしないでゆっくり味わいます。ランチに出かけてコーヒーを注文したり、知り合いと純粋におしゃべりを楽しむのもOK。仕事に無関係で、電子機器を使わず、普段の生活で後回しにしがちな「何か」に20分間没頭します。

さあ、外に出て近所を歩き、空を見上げて新鮮な空気を吸い込み、屋外で同僚とおしゃべりをしましょう(仕事以外の話題を選ぶこと)。なお、このエクササイズは自分のためだけに、自分一人で実行してください。

2つ目は振り返りです。この課題を行った感想を、日記帳または以下のスペースに書き込んでください。短い時間であっても、自分と他者の間に境界線を引き、自分のために時間を確保した感覚を振り返りましょう。

<20分間で行ったこと>

<感想>

(中略)  

大切なのは、20分間という短い時間を1日に数回、それも毎日確保すること。そうすることで、セルフケアが習慣化すると同時に、自分のための小さな行動に時間を費やすのは自分勝手ではなく、長い目で見ればプラスに働くと納得できるようになります。

さらに、このエクササイズを行っている自分を望遠鏡の反対側から眺める視点を持つことで、「何をしなければ自分の時間をさらに増やせるか」を考える機会にもなり20分間没頭します。ます。スーパーでの買い物や洗濯を翌日に先延ばしにしてみる? 携帯電話の電源を切って、SNSから離れてみる?

この本が提唱するウォーキング・セラピーに集中するために、もう1つお願いしたいのは、ウォーキング用の靴かブーツを購入することです。店に出向いて、雨などに強く、足にフィットする一足を選ぶ行為は、「旅」に向けて心身を整える格好の準備運動。ウォーキングを始めるのだと脳に教え込み、雨も泥も氷も雪も気にせず進みましょう。

「悪天候なんてない。準備が足りないだけだ」という言葉があるように、十分な準備はウォーキング・セラピーを成功させる大切な土台となりますから、これから始まる「旅」に備えて必要な準備を怠りなく。また、こうした準備に真剣に取り組む中で思考が整理され、ウォーキング以外の行動に挑戦する道も開けるかもしれません。

※抜粋第1回:欧米で注目を集める「歩くだけ」心理療法、ウォーキング・セラピーとは何か
※抜粋第3回:ウォーキング・セラピーは「どこでもいい」「ただ歩けばいい」わけではない


ウォーキング・セラピー
 ストレス・不安・うつ・悪習慣を自分で断ち切る
 ジョナサン・ホーバン 著
 井口景子 訳
 CCCメディアハウス

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