最新記事
メンタルヘルス

ウォーキングは、脳を活性化させ、ストレスを低下させ、つながりを感じさせる

2020年3月11日(水)16時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

これに加えて、ウォーキングにはドーパミンやセロトニン、エンドルフィン、オキシトシンといった「幸福ホルモン」や、アドレナリンの分泌を促す効果もあります。その結果、気分が明るくなり、元気で幸せで、満たされた感覚を得られるのです。

感情と体の動きはコミュニケーションの基盤であり、意識しているか否かにかかわらず、精神状態は姿勢やしぐさ、歩き方に表れるもの。ウォーキングは心を解きほぐし、感情を整理しやすくしてくれる上に、ボディランゲージを使って内面をオープンに表現する後押しにもなります。室内での対面カウンセリングからウォーキング・セラピーに切り替えたクライアントに表れた大きな変化の1つが、この点でした。

なかでも、自然の中でのウォーキングの効果は絶大です。音や匂いや景色が、記憶と思考、感情を呼び覚ましてくれるのでしょう。

身体面の効果

ウォーキングの健康効果は計り知れません。血圧を下げ、マイナス思考を脇へ追いやることで心身のストレスを低下させます。コレステロール値を低下させ、代謝を活性化し、体重を減少させる効果もあり、その結果として血のめぐりが改善され、各臓器に酸素と栄養が行き渡り、頭がすっきりすることにもつながります。こうした効果を考えると、やはり継続的なセルフケアは何よりも優先されるべきだと痛感します。

スピリチュアルな面の効果

「スピリチュアル」という言葉に拒否反応を示す人もいます。ビバリーもそういうタイプだったので、私は代わりに「つながり」という言葉を使うことにしました。表現はともかく、スピリチュアルな側面があるからといって、ウォーキング・セラピーを敬遠しないでほしいと願っています。

人間の体はもちろん物質で成り立っていますが、だからと言って「魂」の存在を否定することはできませんし、互いにつながりたい、自然と一体になりたいという根源的な欲求は誰にでもあると、私は信じています。だからこそ人間は、周囲と切り離されたと感じたときに、気持ちが不安定になり、さまざまなつらさを感じるのでしょう。

ストレスが高じて視野が狭くなり、自分を癒してくれるものの代わりにストレス源となるものにばかり目が行くようになると、自分の内面のスピリチュアルな(あるいは、つながりを求める)感情が死んでしまいます。

自然の中でのウォーキングは、自然との深く、強い結びつきを感じさせてくれます。かすかにでもこの感覚を実感できれば、心の回復と幸福感、心身の健康にとってスピリチュアルな要素、あるいはつながりがいかに大切かを理解できるでしょう。

(中略)

時間を取り返す

ここまでの説明で、外に出て歩くことの意義は伝わったと思います。でも、問題がありますよね? 優先順位と責任の問題です。まず、のんびり歩いている暇がありません。仕事を抱え、締め切りに追われ、上司の歓心も買わなければいけない。子供は一人で習い事に行けないし、家事もたまる一方......。

よく分かります。時間は貴重です。特に仕事に多大な時間を取られている場合には。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米テキサス州洪水の死者32人に、子ども14人犠牲 

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条

ワールド

EU産ブランデー関税、34社が回避へ 友好的協議で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中