「オーバーツーリズムなく、夏は涼しい」とアピール、観光客の回復遅れるベルリン

8月21日、ベルリンの観光当局は、観光公害や地元住民の抗議活動もなく、夏も涼しいとアピールし、観光客の誘致に本腰を入れている。 ブランデンブルグ門前で15日撮影(2025年 ロイター/Annegret Hilse)
ドイツの首都ベルリンは、パリや南欧各地に比べて新型コロナウイルス禍後の観光客回復が遅れている。ベルリンの観光当局は、観光公害や地元住民の抗議活動もなく、夏も涼しいとアピールし、観光客の誘致に本腰を入れている。
観光局ビジットベルリンの報道担当者、クリスチャン・テンツラー氏は「私たちにはオーバーツーリズム(観光公害)の問題はない」と話し、「街は広く、人々は分散している。特に夏場にはベルリンの住民が出かけるため、かなりの余裕がある」と売り込む。最先端のアートシーンやプロイセン王国時代に建てられたサンスーシ宮殿、有名なテクノクラブなどの宣伝にも余念がない。
ベルリンは約400万人の人口を抱えている。ベルリン・ブランデンブルク統計局によると、ベルリンの2025年上半期(1―6月)の旅行者数は590万人、延べ宿泊数は1390万泊となり、前年同期比でそれぞれ1.8%減、2.9%減だった。
25年上半期のホテルの平均稼働率は52.8%と、観光業が新型コロナ禍からより迅速に回復したマドリードの65%やパリの79%に後れを取っている。
ベルリンはコロナ禍前の2019年の旅行者数が1400万人弱、延べ宿泊数は3400万泊に達していた。ドイツ経済研究所(DIW)の推計によると、ベルリンの間接効果を含めた観光業による経済効果は2023年に総生産額の4.6%にとどまった。