最新記事

メンタル

自分に自信がないのは克服できる、自分ひとりで(認知行動療法の手引き)

2019年12月27日(金)16時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

AntonioGuillem-iStock.

<自信のなさから、うつ、無気力、対人恐怖症まで。新しい年には、自分自身で自分の思考を改善し、行動を変えていくのがいいかもしれない>

日本人は自信がない、とよく言われる。さまざまなアンケート調査などでも、そうした結果が出ている。謙遜を美徳とする文化的背景もあるだろうが、それでもやはり、胸を張って「自分に自信がある」と答えられる日本人は少ないはずだ。

自信過剰に振る舞う人を見て「ああはなりたくない」と思う人もいるかもしれないが、自信をもてないことは、決してよいことではない。実際、人生のさまざまな場面で悪影響を及ぼしている。

だが、心の内に深く関わる問題だけに、自信をもてるようになりたいと思っても、なかなか他人には相談しづらい。そんな場合に、自信を付けるための、具体的で現実的なスキルを教えてくれる本が助けとなるだろう。

2004年に初版が刊行された『自信をもてないあなたへ 自分でできる認知行動療法』(メラニー・フェネル著、曽田和子訳、CCCメディアハウス)は、まさにそんな本。多くの人に支持され、着実に版を重ね、15年の長きにわたり読み継がれてきたロングセラーだ。

自分自身で自分の思考を改善し、行動を変えていく――つまり、「自分でできる」という点が本書の特徴だ。帯にはこうある。


うつ、不安、無気力、パニック障害、対人恐怖症......
そんなあなたの「いやな気分」が少しずつほぐれていきます。ぜひ、この本の課題に取り組んでみてください。

「自信をもつ」に留まらないようだが、それについては後述する。

自己評価の高さを知る10の質問

そもそも「自信がない」とは、どういうことか。それは「自己評価が低い」ことだと本書は言う。自分がもっている特性や能力ではなく、自分自身に対して抱く全般的な意見が「自分はダメな人間だ」「自分は役立たずだ」といった否定的な見方になる場合がそうだ。

本書の冒頭には10の質問(下記)が用意されており、それぞれに5段階で回答するよう促される。

・これまでの経験から、自分の価値を認め大切にすることを学んだ。
・自分に対して好意的な意見を持っている。
・自分をきちんと扱い、自分にふさわしい気遣いをしている。
・自分が好きだ。
・自分の弱点や欠点と同じくらい、素質や技能や能力や長所も重視している。
・自分に満足している。
・自分には人から関心や時間を注いでもらう資格があると思う。
・自分の人生にはいいことが起こって当然だと信じている。
・自分に対する期待は、人に対する期待と同じで、厳しすぎるものではない。
・自分に対して批判的ではなく、むしろやさしく励ましている。

それに対して「強くそう思う」「だいたいそう思う」「ときどきそう思う」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」のどれに当てはまるかを答える。このとき、「強くそう思う」以外の回答が1つでもあるようなら自己評価が低いとされる。

自己評価が低い人は、仕事では失敗を恐れるあまり完璧主義になったり、無理な激務をこなそうとしたりする。自意識が強いためリーダーのように振る舞ったり、反対に、どんな犠牲を払ってでも他人を優先しようとしたり、親密な関係から身を引こうとしたりする場合もあるという。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中