最新記事

投資の基礎知識

つみたてNISAから見えてくる、投資とコストの甘くない関係

2018年7月9日(月)18時15分
網代奈都子 ※株の窓口より転載

インデックス型が多い理由

これらの要件をすべてクリアしたファンドは計148本(6月22日現在)。約5000本(ETFを除く)ものファンドがあることを考えれば、ごく限られた数(約3%)だということがわかります。

その内訳は、以下のようになっています。

・指定インデックス投信:131本
・アクティブ運用投信等:17本
・ETF(上場投資信託):3本

インデックス投信とは、日経平均株価やTOPIXといった指数(インデックス)と値動きが連動するように設計されたファンドのこと。反対に、ファンドマネージャーが銘柄を選んで指数を上回る成績を目指すのがアクティブ運用です。人に頼るため、どうしても運用コストが割高になります。

つみたてNISAの要件で言えば、国内株のインデックス投信では信託報酬の上限は0.5%とされていて、該当する32本の平均は0.27%。一方のアクティブ運用投信の場合は、上限1.0%に対して該当6本の平均は0.95%となっています。

(参考記事)【気になる隣の退職金】甘い罠をくぐり抜け......プラス13%の利益を出せた理由

つみたてNISAの注意点

「税金ゼロで手数料は低め」と、かなり魅力的なつみたてNISAですが、もちろん注意点もあります。

・NISAとつみたてNISAの併用はできない
・投資可能期間は2018年~2037年
・非課税投資枠は毎年40万円が上限
・非課税投資枠に未使用分があっても、翌年以降に繰り越すことはできない
・非課税期間終了後に、翌年の非課税枠に移すこと(ロールオーバー)はできない

なかでも注意したいのが、NISAとの併用ができない点でしょう。20年をかけて投資信託に800万円を積み立てていくか、5年で600万円を好きなように運用してみるか――自分にはどちらが合っているのか、よく考えて選択する必要があります(年単位での変更は可能)。

また、何より忘れてはいけないのは「投資」だという点です。いくら少額で、長期で、積立で......とリスクが低そうに思えても、最悪の場合は元本割れ、つまり投資した金額よりも減ってしまう可能性があることは、必ず覚えておきましょう。

コストを見直す契機に

投資において「リターン(利益)」をコントロールすることは不可能です。なぜなら、どんな投資対象であっても、「絶対に儲かる」などということはないからです。投資家がコントロールできるのは「リスク(損失)」と「コスト(税金や各種手数料)」のみ。

それを考えると、「税金がかからない」「国お墨付きの低コスト」ということは、確実かどうかもわからない「リターンの高い金融商品」を探すよりも、よほど手堅いと言えるでしょう。

つみたてNISAは資産運用のはじめの一歩、と見られがちですが、一方で、この低コストに徹底した制度は、投資に慣れて、ついついコストを忘れがちな人ほど注目すべきかもしれません。ぜひ、つみたてNISAの対象商品と、いま保有しているファンドのコストを見比べてみてはいかがでしょうか。

[筆者]
網代奈都子[あじろ・なつこ]
30代OL。仕事のかたわらトレードを行っており、そのスキルを磨くべく日々勉強中。目下の目標は年間の利益100万円。安定した利益を出し、ペット可物件に引っ越すのが夢。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
kabumado_logo200new.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米9月雇用11.9万人増で底堅さ示唆、失業率4年ぶ

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2

ビジネス

さらなる利下げは金融安定リスクを招く=米クリーブラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中