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対談

50代の「オジサン」がAI時代を生き抜くにはどうすべきか?

2018年5月11日(金)16時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

新井 そうすると、会社が成長して収益が倍々で増えていくときがいちばん危ないですよね。コンプライアンスの問題が生じたり、顧客管理や情報管理にトラブルがあったり。そうした脆弱な部分が、一気に露呈します。

加谷 マウントゴックスやコインチェックが、まさにその代表例ですね。

新井 そうです。だから、そういうところで若い起業家を支える、という動きを始めている50代が増えているんです。それこそブロックチェーン関連のスタートアップに、元モルガン・スタンレーの"オジサン"が招聘されるといった話は、既に結構あります。

実はこの流れは、かつてグーグルが企業として落ち着いていった流れと同じです。40代後半で経験豊富な"オジサン"であったエリック・シュミットを外部からCEOとして迎え入れて、グーグルはそこから"大人"になっていったと思います。

本当に才能があって、これからの日本に必要なスタートアップには、後ろで支えてくれる人が必要です。だから、50歳くらいまでにベンチャーを助けられるスキルを身につけて、柔軟性を維持し、若者の助けになるという生き方を選ぶ人たちが、もっと増えてほしいですね。

加谷 若者に投資するというよりも、これからは若い人が頑張ってくれないと日本はダメになるから、自分の経験を生かして彼らの成長を見守ろうということですね。ただ静かに定年を待つよりも、ずっと魅力的な老後の迎え方のように思えます。

新井 そうですね。セカンドキャリアとしてやりがいがあるようなことをやろうとする場合、いざ60歳になってからよっこらしょと腰を上げるよりも、40代後半から準備を始めて55歳で動くという流れがスムーズだと思います。どうしても60代になると、30代の起業家とはなかなか話も合わなくなってきますから。

いずれにしても、若いスタートアップで何か貢献してあげようといった「自分の使い方」を考えられる人であれば、きっと人生は2度楽しいだろうな思いますね。

構成:土居悦子

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