最新記事

対談

学生はバイトするな、お金のために時間を犠牲にするな【箕輪×正田】

2018年2月21日(水)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

起業や働き方、お金について語り合った編集者の箕輪厚介(左)とシリアルアントレプレナーの正田圭(右) Newsweek Japan

<働くこと、お金について、日本の若き起業家たちはどう考えているのか。シリアルアントレプレナー(連続起業家)である正田圭と、日本のベンチャー界隈に詳しい編集者の箕輪厚介が語り合った(対談・後編)>

「会社を売るのはいいこと」だと、シリアルアントレプレナー(連続起業家)であるTIGALA代表取締役の正田圭氏(31歳)は言う。

会社の設立と売却を繰り返すのがシリアルアントレプレナー。正田氏によれば、それこそが時間とお金の両方を手に入れ、人生の選択肢を広げる生き方だ。

このたび、自分のノウハウを伝え、起業して会社を売却する「文化」をもっと日本に広めたいと『サクッと起業してサクッと売却する――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』(CCCメディアハウス)を上梓した。おそらく日本初となるシリアルアントレプレナーシップの指南書である。

正田氏の知人であり、日本のベンチャー界隈に詳しい編集者の箕輪厚介氏(32歳)との対談。前編では、シリアルアントレプレナーを目指すべき理由や、起業家に才能が集まり始めている日本の現状などについて語り合った。

※対談前編:日本の若者がシリアルアントレプレナーを目指すべき理由

この後編では、働くことやお金についての考え方へと、話が広がっていった。

リスクをリスクと思わない強さ

――この本には、「起業家として経験を積むためにもたくさん会社を作り、たくさん売ればいい」と書かれている。

正田 そうですね、起業はなかなか1回では成功しないものだし、経験値が大事なんです。以前は「起業は遅いほうがいい」と思っていたんですが、最近は「なんか違うよな」と。社会に出るスタートの時点で起業してもいいんじゃないか、という考えに変わりました。

本にも「学生はバイトするな」と書いているんですが、バイトするぐらいなら親からお金を借りて起業したほうがいい。

というのも、雇われグセがつくのがよくないと思うんですね。自分の時間をお金に変えるのが仕事だと思い込んでしまう。それは、シリアルアントレプレナーの思考から遠く離れたものです。

箕輪 それ、LINEの田端信太郎さん(編集部注:2月末で退職予定)とも話したことがあります。僕ら2人とも、サラリーマンだけど個人としてもいろんな場所に呼ばれたり、ネオサラリーマンみたいな働き方をしていますけど、われわれはいつまでたっても所詮は凡人。

堀江さんみたいに1度も就職したことのないやつはスーパーサイヤ人だ、こっちはクリリンやヤムチャが必死にやってるだけだと(笑)。リスクをリスクと思わない強さは、1度雇われちゃうと一生手に入らないですよね。

正田 新卒で就職するのはべつにいいと思うんですけど、最初の「働く」経験は、雇われるよりも、自分で稼いだほうがいいんじゃないかと。

箕輪 (ライブ動画ストリーミングプラットフォームを運営する)SHOWROOMの前田裕二さんも、路上で弾き語りをしたという原体験があるし、いまイケてる起業家は小さな商いを経験していた人が多いような気がします。

若い頃に、そうやってサラリーマンよりも稼いだ経験があると強いですね。サラリーマンになるのはお金を稼ぐ1つの手段でしかないと思えるようになる。

もう1つ言うと、これからの起業家は「お金を集める力」が重要な気がしていて。それはビジョンと、人間的な魅力だと思います。要するに「損してもいいから、こいつに賭けたい」と人に思わせる力。

アイデアは一瞬で真似されるけど、固有のビジョン、固有のアイデンティティーは真似できません。それを若いうちに養った人は強いと思うな。(クラウドファンディングサイトを運営するCAMPFIREの)家入一真さんなんて、ぶっちゃけだらしない人だけど、この人に賭けてみたいと思わせる独自のものがあります。


『サクッと起業してサクッと売却する
 ――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』
 正田 圭 著
 CCCメディアハウス

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

SHEINとTemu、英仏でデジタル広告強化 米免

ワールド

中国大型連休の国内旅行支出8%増、1人当たりはコロ

ワールド

パキスタンがミサイル実験、インドは一部州に模擬訓練

ワールド

豪家計支出、3月は前月比-0.3% 予想外のマイナ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 3
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どちらが高い地位」?...比較動画が話題に
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    背を向け逃げる男性をホッキョクグマが猛追...北極圏…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1位はアメリカ、2位は意外にも
  • 4
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 5
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 6
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 7
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 6
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中