最新記事

対談

日本の若者がシリアルアントレプレナーを目指すべき理由【箕輪×正田】

2018年2月20日(火)15時58分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

起業や働き方、お金について語り合った編集者の箕輪厚介(左)とシリアルアントレプレナーの正田圭(右) Newsweek Japan

<会社の設立と売却を繰り返す「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」。ハードルが高いように思えるかもしれないが、それこそが人生の選択肢を広げる生き方だという。自身もシリアルアントレプレナーである正田圭と、日本のベンチャー界隈に詳しい編集者の箕輪厚介が語り合った(対談・前編)>

会社を設立し、売却し、さらにまた会社を設立し、売却し......ということを延々と繰り返す。それが「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」だ。

確かに終身雇用制度は崩壊し、1つの会社で定年まで勤め上げることが現実的でなくなってきた。大企業に入ってサラリーマンになるよりも、好きな仕事をやりたい、起業したい、そう考える若者も増えてきている。

しかし、苦労して立ち上げた会社を「売ったほうがいい」と言われると、戸惑う人も少なくないのではないだろうか。起業するだけでもハードルが高いのに、さらに売れだなんて......。

しかし、決して難しいことではないし、それこそが時間とお金の両方を手に入れ、人生の選択肢を広げる生き方だと、自身もシリアルアントレプレナーである正田圭氏(31歳)は言う。

15歳で最初の起業をし、ネット事業やM&A、事業再生などに従事してきた正田氏。20代で10億円の資産を作り、現在はテクノロジーを活用した金融データ解析などを提供する会社、TIGALAの代表取締役を務めている。

このたび、自分のノウハウを伝え、起業して会社を売却する「文化」をもっと日本に広めたいと『サクッと起業してサクッと売却する――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』(CCCメディアハウス)を上梓した。おそらく日本初となるシリアルアントレプレナーシップの指南書だ。

一方、異なる立場から「若者はどんどん起業するべき」と訴えるのが、正田氏の知人であり、日本のベンチャー界隈に詳しい編集者の箕輪厚介氏(32歳)。幻冬舎に所属して単行本を作りながら、個人としてコンサルティングやプロデュースなども手掛ける新しいタイプの編集者だ。

堀江貴文『逆転の仕事論』、見城徹『たった一人の熱狂』、イケダハヤト『まだ東京で消耗してるの?』、青木真也『空気を読んではいけない』、佐藤航陽『お金2.0――新しい経済のルールと生き方』といった本を手掛けてきた彼は、「いま起業家に才能が集まっている」と断言する。

今どきサラリーマンになるなんて馬鹿げているし、起業家になるとしても会社を1つ作るだけじゃ面白くない――そう訴える2人に話を聞いた。

「会社=人生」の時代の終わり

――日本では「シリアルアントレプレナー」の認知度が低いかもしれない。

正田 確かに、昔は会社というと「自分の子供」で、売るなんてとんでもないという人が多かったと思います。今でも地方にいくと、高齢の経営者には「会社を売ったりしたら、後ろ指をさされてしまう」という人がいる。でも最近は、会社を売ることは「いいこと」で、フェイスブックで報告すれば「おめでとうございます!」とコメントが付く。この認識がもっと広まればいいと思って、この本を書きました。

実際、会社を作るのも売るのもハードルは下がっていると思いますよ。僕が最初に起業した15歳の頃は、ベンチャーキャピタルなんてなかったですし。

2017年の11月にDMM.comが(「質屋アプリ」の)CASHを買収しましたけど、できて8カ月目の会社が70億円で買収されるなんて、以前はあり得ませんでした。


『サクッと起業してサクッと売却する
 ――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』
 正田 圭 著
 CCCメディアハウス

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本との関税協議「率直かつ建設的」、米財務省が声明

ワールド

アングル:留学生に広がる不安、ビザ取り消しに直面す

ワールド

トランプ政権、予算教書を公表 国防以外で1630億

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、堅調な雇用統計受け下げ幅縮
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単に作れる...カギを握る「2時間」の使い方
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    宇宙からしか見えない日食、NASAの観測衛星が撮影に…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 10
    なぜ運動で寿命が延びるのか?...ホルミシスと「タン…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 10
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中