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起業は1度目より2度目が「ダントツで有利」な理由

2018年2月27日(火)16時34分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

外注先も同じだ。会社のホームページを作るウェブの制作会社、会社案内を作る印刷会社も、一から探すととんでもない時間がかかる。「ここがいい仕事をしてくれた」とわかっていれば、業者探しから始めるロスタイムもなくなる。

税理士や会計士、弁護士などの士業についても同じことがいえる。彼らとはとくにM&Aを経て関係性が急速に密接になることが多い。

要は、たとえ事業内容は変わっても、経営者当人に対する情報や関係性は蓄積され、残っていくということだ。とくに信頼関係は、会社を売っても消えるものではない。自分の経験値もどんどん上がっていく。この点を最大限に活用できるのが連続起業家の強みだ。

会社売却で「目立つ色の付箋」が貼られる

会社を売却すると、急に「フォロワー」のような人が増えることになる。

僕は相手のことを知らないのに、「正田さんのこと、聞いていますよ」「こういうエグジットを経験されましたよね」などと言われる。仕事の打ち合わせでも過去の経験や経緯をいちいち説明する必要がなくなり、話がスムーズに進む場面が増えた。

著名な起業家を見ても、成功(売却)経験のある人に対しては社会が大きな期待を寄せていることがよくわかる。

まだ何もしていないのに、「次はこういうことをやろうと思います」と表明するだけで取材が来たり、情報が拡散されたり、ベンチャーキャピタル(VC)が出資を申し出てきたりする。自然と人が寄ってくるのだ。

このように自分の認知度が上がることは、ベンチャー企業にとっては得がたい、大きなアドバンテージになる。

情報過多の現代では、ベンチャー企業がプレスリリースを出してもすぐに他の情報に埋もれてしまうし、ツイッターやフェイスブックで情報発信しても、あっという間にかき消されてしまう。

しかし、M&Aエグジット経験があると、膨大な紙の束の中に一つ、「目立つ色の付箋」が貼りつけられたような状態になる。つまり、人目につきやすくなるのだ。

最初に立ち上げた会社に固執せず、一度売るという体験をしてみよう。会社は結婚とは違う。一度立ち上げた会社と一生を添い遂げなければならないわけではないのだ。

起業と売却を繰り返せば経験値は上がり、社会的評価も上がる。ちょっと情報発信するだけで周りが気にしてくれるようになる。シリアルアントレプレナーは得なことばかりである。

再度起業するにしても就職するにしても、会社を売却した経験は、あなたの経歴を彩る実績になるはずだ。

※第3回:起業のよくある質問:借金やSNS炎上が心配なんですが...


『サクッと起業してサクッと売却する
 ――就職でもなく自営業でもない新しい働き方』
 正田 圭 著
 CCCメディアハウス

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