約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目...企業を長寿にする「3つの秘訣」とは
1つ目は、後継者の選定と育成に成功してきたこと。虎屋には、「1世代につき1人限り」というルールがあり、仮に当主に子供が複数人いても、そのうちの1人しか虎屋で働くことができません。このルールが親族間の争いを回避し、優れた経営者を育成することにつながったのは間違いありません。
2つ目は、どの時代においても伝統を守り続けるのと同時に、新しい商品やビジネスの創造に挑戦してきたこと。私自身、虎屋の羊羹「夜の梅」を食べてみましたが、驚くほどのおいしさで、これこそが「伝統と革新」の結集であると感じました。
3つ目は、企業の伝統、価値観、ストーリーを代々伝承してきたこと。虎屋は創業以来、「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」という経営理念を守り続けてきました。この顧客を第一とした精神こそが企業を長く存続させる原動力になったのではないでしょうか。
日本には虎屋のほかにも100年以上存続している企業が4万社以上もあるそうですね。これからも日本の長寿企業について研究していきたいと思っていますので、日本の読者の皆さん、面白い長寿企業がありましたらぜひご一報ください!

ローレン・コーエン
Lauren H. Cohen
ハーバード・ビジネススクール教授。全米経済研究所(NBER)研究員。専門はファイナンスおよび起業家的経営。ファミリーオフィス研究の第一人者で、同校のMBAプログラムにて講座「インサイド・ザ・ファミリーオフィス」、エグゼクティブプログラムにて講座「ファミリーオフィス・ウェルスマネジメント」などを担当。イノベーション政策、インパクト投資、気候変動問題、年金制度、ファミリーオフィスマネジメントの専門家として、世界各国の政府アドバイザーを務める。2017年にはMBA専門情報サイトPoets&Quantsが選ぶ「世界で最も優れたビジネススクールの教員ベスト40(40歳以下部門)」に選出された。和菓子メーカー、虎屋の事例を取り上げた教材(ケース)『虎屋』は日本でも話題となった。
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