グーグル出身の学生の心を打った2つの日本企業...日本企業がハーバードでも評価される理由とは?

トヨタのケースは独自の生産方式のほか、「人間味あふれるエピソード」で多くの学生の記憶に残る つのだよしお/AFLO
<ハーバードビジネススクールでは、実際の事例として複数の日本企業が取り上げられている。なぜ日本企業はアメリカ人学生の心を打つのか>
米ハーバードビジネススクール(ハーバード大学経営大学院)では、実際の企業の事例が「ケース」と呼ばれる教材として授業で取り上げられる。その中で、複数の日本企業のケースも長く愛用されてきた。
米グーグル出身の学生、オースティン・レガラドも、こうした授業を経験した1人。そんな彼には忘れられない2社の日本企業の事例がある。彼がそれらの事例から学んだものは何だったのか、なぜこの2社が印象深かったのか......。
作家・コンサルタントの佐藤智恵が話を聞いた。
佐藤 ハーバードビジネススクールの1年目の必修科目で学んだ日本企業の事例の中で最も印象に残ったのはどの企業の事例でしょうか。
レガラド 1年目の必修科目で学んだ日本企業の事例の中では、新幹線車両清掃の専門会社、JR東日本テクノハートTESSSEI(テッセイ)とトヨタ自動車の事例が最も記憶に残っています。
その理由は、この2社の事例が、どうすればオペレーショナル・エクセレンス(オペレーションの効率や生産性の向上を追求することによって競争優位性を構築すること)を実現できるのかを示してくれたことです。「オペレーショナル・エクセレンスは、ただ効率を高めたり、コストを削減したりするだけでは達成できない。従業員や顧客など、その企業に関わる人たち、一人ひとりの人間性を尊重することによって、初めて実現できるものなのだ」ということをこの2社から教えられ、心から共感しました。