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ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐる議論...学生が英語下手な社員に同情する理由

2025年10月22日(水)17時40分
佐藤智恵(作家・コンサルタント)

ハーバード大学

世界有数の名門経営大学院、ハーバードビジネススクールではさまざまな日本企業がケーススタディとして取り上げられている ©HARVARD BUSINESS SCHOOL


佐藤 ハーバードビジネススクールの教員が注力して教えている「ダイバーシティーとインクルージョン」の観点からはこの施策をどのように評価しますか。

レガラド 「ダイバーシティーとインクルージョン」の観点から見れば、「社内公用語の英語化」は両刃の剣だと思います。


社内公用語を英語にすれば、本社と海外のグループ会社とのコミュニケーションはより円滑になるでしょうし、日本語を母国語としない人たちは、より「インクルージョン」(=一員として能力を発揮できていること)を実感することができるでしょう。また、日本語と違って英語には敬語、謙譲語などがありませんから、よりフラットな雰囲気になり、若手の社員のやる気を刺激するかもしれません。

一方で、この施策は社内を「英語が得意な社員グループ」と「英語が苦手な社員グループ」に分断し、新たなヒエラルキーをもたらします。なぜなら、後者は人事評価で減点されてしまうからです。

「英語が苦手な社員グループ」の人たちの中には、それまで国内ビジネスで優秀な業績を挙げ、会社の成長に貢献してきた人もいたでしょう。ところが、その人たちの「英語以外の能力」を取りこぼしてしまう(エクスクルージョン)可能性が出てくるのです。

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