最新記事
日本企業

ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐる議論...学生が英語下手な社員に同情する理由

2025年10月22日(水)17時40分
佐藤智恵(作家・コンサルタント)

佐藤 レガラドさんが三木谷社長の立場だったら、どのように全社の言語戦略を実施しますか。

レガラド 私は「社内公用語の英語化」という施策自体は理にかなっていると思いますし、三木谷社長の大胆な変革リーダーシップにも敬意を表します。なぜなら楽天にとってグローバル化は重要な成長戦略であり、「英語化」は正しい戦略だと思うからです。でも私が経営者なら、目指す方向は同じでも、もう少し実施方法を変えたいですね。


私が実現したいと願うのは誰も取りこぼさない「社内公用語英語化」。職種によって達成目標を変えてもいいですし、英語力をTOEICの点数だけでではなく、会話力など別の軸でも評価してもいいと思います。また社員の英語研修プログラムには惜しみなく投資し、会社が社員の成長を支援していることを示したいです。

何よりも、目標点数に達しない人には「減給」「降格」する減点制度ではなく、英語力を大幅に高めたり、国際ビジネスを推進したりした人には「昇給」「昇格」するような加点制度にして、すべての社員をやる気にする制度を構築することをめざしたいですね。

*本記事に登場する学生のインタビューは、個人の意見を反映したものであり、ハーバード大学及びハーバード大学経営大学院の見解を示すものではありません。


オースティン・レガラドオースティン・レガラド(Austin Regalado)
1998年米フロリダ州生まれ。2020年シカゴ大学卒業。米グーグルを経て、2024年8月、ハーバードビジネススクール入学。2026年5月、MBA取得予定。


佐藤智恵佐藤智恵
1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。2001年米コロンビア大学経営大学院修了 (MBA)。ボストンコンサルティンググループなどを経て、2012年、作家・コンサルタントとして独立。2017年より東証プライム上場企業数社の社外取締役を務める。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』 (PHP新書)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)。最新刊は『なぜハーバードは虎屋に学ぶのか ハーバード白熱教室の中の日本』(中公新書ラクレ)。講演依頼等お問い合わせはhttps://www.satochie.com/


ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米9月CPIは前年比3.0%上昇、利下げ観測継続 

ワールド

カナダ首相、米と貿易交渉再開の用意 問題広告は週明

ワールド

トランプ大統領、中南米に空母派遣へ 軍事プレゼンス

ワールド

米朝首脳会談の実現呼びかけ、韓国統一相、関係改善期
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...装いの「ある点」めぐってネット騒然
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月29日、ハーバード大教授「休暇はXデーの前に」
  • 4
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中