ANAがトヨタの「カイゼン」を導入...他社が失敗するなか、非製造業なのに成果を出せた理由
ANAでは基本、「トップは何もするな」と周知しています。特にカイゼンを導入したばかりの頃はこれを徹底していました。
積極的に社員たちに進捗を聞きに回ったり、カイゼンについてわからないのに無理にアドバイスをする必要は一切ないのです。ただ、社員の「こうしたい」という思いを応援することに徹底せよ、「愚直な推進者」であれ、と伝えたのです。
さらに、社員にカイゼンを強要することも避けました。社員たちには、「カイゼンは自分の仕事を楽にするためのものだから、必要のないカイゼンはしなくていい」と伝えました。あくまでも、主役は社員自身であることを徹底したわけです。カイゼンを目的化するなということです。
カイゼンは、あくまでも自分の仕事を楽にするためのもの。ですから「あなた」「あの人」ではなく、「わたし」という一人称で進めることを基本にしました。
一人ひとりの仕事の効率が上がれば、結果としてグループ全体の効率が上がるはずです。実際、おもしろいことにカイゼンは当初想定した以上に受け入れられ、広がっていきました。
自分の仕事を楽にするために行うものであって、会社が強要するものではない、ということをトップ層が理解しておくことは、非常に重要です。

『ANAのカイゼン』
川原洋一 著
かんき出版
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川原洋一(かわはら・よういち)
1985年ANA入社。整備本部企画チーム・マネジャー、機装センター業務推進室長、装備品整備部長、部品事業室長などを経て、2018年にKAIZENイノベーション推進室長に就任。デジタルの力を活用したKAIZENにおいては、「人がやるべきことに集中できる環境づくり」を目指し、未来の整備士像について積極的に変化することを求める議論を続けた。2022年にANAを退職し、現在はANAビジネスソリューションで講師として「ヒューマンエラーを起こしても事故にならない仕組みづくり」「安全をつくる取り組み」などについて研修や講演を行っている。
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