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トランプ大統領、「利下げしない候補者は任命しない」 次期FRB議長人事で

2025年06月28日(土)16時58分

 トランプ米大統領(写真)は27日、米連邦準備理事会(FRB)議長には、金利を現状から引き下げない人物は任命しないと述べた(2025年 ロイター/Ken Cedeno)

Trevor Hunnicutt Kanishka Singh

[ワシントン 27日 ロイター] - トランプ米大統領は27日、米連邦準備理事会(FRB)議長には、金利を現状から引き下げない人物は任命しないと述べた。次期FRB議長候補者に、大幅な利下げを求める自身の要求に沿うようあからさまに要求した形だ。

トランプ氏は、「もし(ある候補者が)金利を現状維持するだろうと思ったら、その人を議長に任命することはない。金利を引き下げたいと考えている人を議長に任命する。そういう人はたくさんいる」と述べた。

歴代の米大統領は、FRBが金利を高く設定し過ぎていると不満を漏らすことはあった。トランプ氏は、次期議長には自分の希望に沿って欲しいという明確な期待を表明した点で、近年のどの米大統領よりも踏み込んだ行動をとった。

トランプ氏、金利を現行の4.25─4.50%から1%に引き下げるべきだと主張。1月に就任して以来、FRBのパウエル議長を金利を引き下げないとして繰り返し非難してきた。

トランプ氏は、「もし彼が望むなら辞任してもらいたい。彼の仕事ぶりはひどい」とパウエル氏を批判し、「愚か者」だと評した。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック後、FRBはインフレを抑え込むため積極的に利上げを実施。2024年後半には若干利下げを行ったが、トランプ氏の大統領就任後は利下げを停止している。これは主に、パウエル氏をはじめとする政策担当者の大多数がトランプ氏の関税政策がインフレを再燃させる可能性を懸念しており、その兆候があるかどうかを見極めた上で再度利下げを行うべきだと考えているためだ。FRB当局者は今年後半に0.5%ポイントの利下げを見込んでいるが、これはトランプ氏が要求する利下げ幅のほんの一部に過ぎない。

トランプ氏は、2026年5月に任期が満了するパウエル議長の後任について3─4人の候補者が念頭にあると述べ、近いうちに決定する意向を示している。過去のFRB議長人事は、空席となる3─4カ月前に行われるのが通例だ。パウエル氏の議長としての任期は約10カ月残っており、トランプ氏が早期に後任を指名すれば、異なる政策軌道を主張する「影の議長」に発言権を与えてパウエル氏の権威を弱めようとする試みになるとみられている。

ベセント財務長官は27日、CNBCのインタビューで、FRB議長の後任候補として検討されているとの報道について問われ、トランプ大統領の希望に応じると述べた。「大統領の望むことは何でもやるが、私は米政権で最高の仕事に就いていると思っている」と語った。

他に候補として挙げられているのは、国家経済会議(NEC)のハセット委員長、ウォーシュ元FRB理事、そしてウォーラーFRB理事。トランプ政権の一期目に任命されたウォーラー氏は先週、7月末の次回連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを行うことに前向きな考えを示した。

ロイター
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