最新記事
ビジネス

ANAがトヨタの「カイゼン」を導入...他社が失敗するなか、非製造業なのに成果を出せた理由

2025年3月25日(火)16時55分
川原洋一(ANAビジネスソリューション講師)

しかし非製造業の場合、「製品を作る」というゴールはありません。ですから、トヨタ生産方式でよく使われているJITやニンベンのついた自働化、タクトタイムの設定などの手法をそのまま取り入れることは難しく、自社により適したカイゼンを模索する必要があります。

定型業務が少ないので、タクトタイムの設定で効果を出すことは難しいのです。実際にANAも非製造業であることを前提として、自社の風土や文化に合ったかたちでカイゼンを導入していきました。

「カイゼンって製造業の手法ですよね?」
「なぜうちにカイゼンを導入するのですか?」

こうした社員の戸惑いも想定して、カイゼンを自分たちの仕事場にうまく持ってくるにはどうすればいいのか、カイゼンをどのように進めていくのかを考えていきました。

ANAグループの中心事業は航空運送事業です。お客様を飛行機にご搭乗いただき、安全に目的地まで送り届けること。これがANAグループの最も重視するべきミッションです。飛行機を利用してくださるお客様の安全は、絶対に守らなければなりません。

ANAには数多くのグループ会社や子会社があります。

また、社内にもネットワーク部や経営戦略室、調達部、人事部や広報部など、さまざまな間接部署があります。

それぞれ手がけている仕事や求められる成果は異なりますが、すべての部署の仕事は安全に航空機を運航することにつながっています。

そこでカイゼンも、究極を言えば「もっと安全にお客様を目的地まで運ぶため」に導入するべきだと考えました。組織が最も守るべきものが明確に示されていたことで、カイゼン導入後も軌道修正しながら、社内にカイゼンを定着させることができたと考えています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、イランのフーシ派支援に警告 国防長官「結果引き

ビジネス

消費者態度指数、5カ月連続マイナス 基調判断「弱含

ワールド

中国、欧州議会議員への制裁解除を決定

ワールド

エルサルバドルへの誤送還問題、トランプ氏「協議して
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中