最新記事

不動産

2020年のマンション市場と今後の動向──コロナ禍で高まる需要、今マンションは買うべきなのか

2021年3月9日(火)14時35分
渡邊 布味子(ニッセイ基礎研究所)
マンション

新築・中古ともに現在は超売り手市場 milosljubicic-iStock

<在宅勤務の長期化で住まいの広さや設備に不満を持つ人は増えている。マンション市場の需要超過と価格の上昇傾向はしばらく続く見通しだが、どのタイミングで購入すればいいのか>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年2月26日付)からの転載です。

2020年のマンション市場はコロナ禍により大きく影響を受けた。5月から6月にかけては、緊急事態宣言中のモデルルームの閉鎖や、移動自粛により販売活動が停滞し、販売戸数は大きく減少した。また、その後コロナ禍がもたらした生活の変化は、人々の住宅に対する認識に影響を与え続けている。

一方で、マンション価格は高値水準が続いている。マンションを買いたい人は、今買うべきなのだろうか。需要と供給の動向を踏まえて考えてみたい。

住宅市場と需要者の購入動機

そもそも、新築マンションの供給量は需要者の購入動機に少なからず影響を受ける。しかし、住宅の購入動機は、価格や税制の変化などの経済的理由とは必ずしも結びつかない。

図表1は2013年6月に「住宅金融支援機構が提供する住宅ローン『フラット35』を借りた人(マンション、戸建の購入者)が、住宅を取得した理由」についてのアンケート結果である。当時の消費税は5%であり、2012年8月には「2014年に8%」、「2015年に10%」へ消費税を引き上げる法案が可決されていた。当時、住宅購入を検討する人々は、建物の購入に必要な費用が消費増税分だけ増加することを容易に想像できたはずであり、また、金利も低かったので、「買い時」とか「金利が安い」といった経済的理由が重視されてもおかしくはない。

しかし、実際の結果を見ると、「結婚を機に」「子供や家族のため」といったライフステージや、「もっと質の良い住宅に住みたい」「もっと広い部屋に住みたい」といった生活・環境の向上を理由にあげた人が多かった。いずれの動機も価格や税制の変化等には左右されにくいものであり、住宅市場では、常にこうした経済的理由以外の需要が一定程度見込めるといえるだろう。

Nissei210305_Chart1.jpg

コロナ禍の購入動機への影響

最近、コロナ禍による巣ごもり需要やテレワークの影響などで、現在の住まいの広さや設備に不満を持つ人が増加している。

リクルート住まいカンパニーによる今の住宅に対する不満についてのアンケートによると、「仕事専用スペースが欲しくなった」という意見が最も多く、次いで「通信環境の良い家に住みたくなった」との意見が多かった(図表2)。

少なくとも、コロナ収束までは、テレワークを導入する企業が一定数あり、在宅勤務の長期化は、今の住宅に対する不満を増加させる可能性がある。生活・環境の向上のため、住み替えを検討し始める人が増加するのではないかと考えられる。

また、「広さ、駅距離」のどちらを重視するかとの問いに対しては、コロナ後は「広さ」を選ぶ人がコロナ前より11%も増加した(図表3)。一方で、SMBC日興証券のセクターアナリストによる大企業マネジメントへのヒアリング調査(10/26~12/2)では、現在と比べたコロナ収束後のテレワークの頻度について「方針は未定」と答えた企業は43%となった。コロナ後の勤務状況に関しての全体的な方向性はまだ不透明であり、現時点で、郊外の広い住宅や地方への移住する、といった思い切った行動をとる人は少ないであろう。

Nissei210305_Chart2_3.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランで大規模デモ、景気低迷への抗議で死者も トラ

ワールド

イエメン、分離派抑え込みに作戦実施 「平和的」と主

ワールド

シャンパンボトルの花火が原因か、40人死亡のスイス

ワールド

ベネズエラ大統領、米と関係改善意向 麻薬協議・投資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中