最新記事

2021年に始める 投資超入門

ひふみ投信・藤野英人「それでも日本の未来を信じ、日本株を買い続ける理由」

BELIEVING IN JAPAN

2021年1月8日(金)18時15分
藤野英人(レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長)

magSR20210108believinginjapan-2.jpg

ILLUSTRATION BY IR STONE-SHUTTESTOCK

しかし、根本的に株式市場というのは、価値のある素晴らしい企業の株価が長期的に上がるようになっている。投資家として株式市場で成果を上げることは、そうした素晴らしい企業にお金を投じて活動を支援したことへの、いわばご褒美だ。

株式投資に根強い反発がある背景には、日本人の労働観が影響しているのではないか。日本人の多くは仕事が嫌いで、会社が嫌い。5割の人が自分の会社を信用していないという調査結果もある。

そうした人にしてみれば、会社を応援すること(=投資)はまるで悪の軍団に肩入れをするような行為に思えるのだろう。

この考えは若い人にも浸透していて、NPOやNGOに進む若者が増えているのは、これが理由かもしれない。

その一方、起業して、世の中に価値を提供する素晴らしい会社を生み出そうとする若者が増えていることも事実だ。

私の元にも起業や投資の相談が多く寄せられている。その中には思わず「きみ、天才だね!」と言いたくなるようなアイデアもあり、彼らのおかげで私は日本の未来に明るい展望を持っている。

GDPから言えば、日本はまだまだ大きな市場だ。しかも日本語という特殊な障壁に守られていて、起業家マインドの薄い人が多く、世の中には不平不満があふれている。

一見ネガティブなこれらの要素こそ、実は日本の強みだ。なぜなら、不平や不満は全て商売のネタ。日本市場はいわば穴だらけのボロボロの服のようなもので、それを繕ったり継ぎはぎしたりすれば、数十億~100億円の市場を無数に生み出せる。

全体の成長は難しくとも、大きな成長を遂げる企業が誕生する余地はこの先いくらでもあるということだ。

2021年は乱高下の可能性がある

2021年の話をすれば、2020年のコロナ相場では多くの個人投資家が振り落とされたが、今年はそれ以上に荒れるとみている。

コロナ禍で状況が悪化するほどに市場が強気になっていったのは、金融緩和への期待が膨らんだからだ。では、そうして上がった株価が下がるのはいつか。それは金融緩和期待がしぼんだ時であり、コロナが終息に向かい始めた時だろう。

その際には、上がり過ぎた株価は一時的に大きく下落するかもしれない。しかし、長期にわたって成長が見込まれる企業であれば、また資金は戻ってくる。2021年にはそうした乱高下が起きる可能性があり、パニックにならずにいられるかどうかが鍵を握る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中