最新記事

アメリカ経済

米国株式市場は反落、ダウ900ドル超安 国内の新型コロナウイルス感染8.5万人突破で

2020年3月28日(土)07時47分

米国株式市場は反落した。米国内の新型コロナウイルス感染者数が増加し、米経済見通しを巡る不透明感が強まる中、3日続伸していたダウ工業株30種<.DJI>は週末を前に900ドル超安で取引を終了した。写真は2015年9月、ニューヨーク証券取引所前で(2020年 ロイター/Lucas Jackson)

米国株式市場は反落。米国内の新型コロナウイルス感染者数が増加し、米経済見通しを巡る不透明感が強まる中、3日続伸していたダウ工業株30種は週末を前に900ドル超安で取引を終了した。

米疾病対策センター(CDC)によると、26日夕時点で米国内の新型コロナ感染者数は8万5000人を突破。死者も1200人を超えた。感染者数は中国、イタリアを超え世界最多となった。

ナスダックIRインテリジェンスのシニアアナリスト、マスード・ギャウシー氏は、新型コロナ流行による経済的影響について「全容はまだ分からない」とし、「ウイルス感染拡大制御と経済活動再開のバランスが政策担当者の注目点だろう」と述べた。

米議会下院が2兆2000億ドル規模の新型コロナ関連経済対策法案を賛成多数で可決したものの、株価押し上げには至らなかった。トランプ大統領は引け後に署名し、法案は成立した。

経済対策への期待や、米連邦準備理事会(FRB)が打ち出した一連の対応を受け、S&P500は今週10.2%上昇し、2009年以来の好成績となった。ダウは前日までの3日間に21%急伸し、3営業日での上昇としては1931年以来の水準となった。

しかし、アリー・インベストの首席投資ストラテジスト、リンジー・ベル氏は「週末の動向が来週の市場の動きの鍵を握る」とし、「週末にニューヨーク州などで新型コロナ感染が加速し、病院の収容能力が限界に迫れば、来週の市場は荒れ模様となるだろう」と述べた。

この日発表された指標では、3月の米ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が89.1と、2016年10月以来の低水準に沈んだ。新型コロナの世界的大流行が景気見通しを悪化させていることが示された。

個別銘柄では、ボーイングが10%急落。デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空も軒並み6─11%安となった。

ムニューシン米財務長官が、新型コロナに対処する経済対策法案について、航空業界の救済でないと改めて表明し、ボーイングは政府支援を要請していないと強調したことが材料視された。

原油相場の下げに伴い、エネルギー株は6.9%安。セクター別では最大の下げを記録した。

銀行株も4.6%安。米債利回りの低下に追随した。

ニューヨーク証券取引所では、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を3.17対1の比率で上回った。ナスダックでも2.98対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は134億株。リフィニティブのデータによると、3月5日以来の低水準だった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、1―3月期純利益5171億円 通期

ビジネス

英金利は高止まりの可能性も、中銀チーフエコノミスト

ビジネス

独ZEW景気期待指数、5月はプラス転換 予想も上回

ビジネス

ホンダ社長、日産との統合協議再開「当分もうない」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 7
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 10
    ハーネスがお尻に...ジップラインで思い出を残そうと…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 8
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 9
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中