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危機管理

新型コロナウイルス、感染ショックの後に日本を襲う4つの最悪シナリオ

2020年2月28日(金)17時30分
岩崎博充(経済ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

65%超の企業が「影響が出てくる」とみているわけだ。実際に、新型コロナウイルス感染拡大によって、さまざまな分野で影響が出ている。2月24日時点でわかっている影響を紹介すると次のようになる。

●札幌雪まつり......来場者数は前年に比べて202万人と71万人の減少
●インバウンド.......三越伊勢丹では春節にあたる2月4~10日の売り上げが昨年比2割減
●東海道新幹線乗客数.......2月1~19日の新幹線乗客数は対前年比で1割減

もともと日本経済は2018年末辺りから、景気が落ち込んでいると言われており、例えば民間設備投資の先行指標である「機械受注統計」では、2019年12月の数字が前月比12.5%と大きく下落した。機械受注は変動幅の大きな統計だが、コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける前に、すでに2ケタの減少になっている。

日本経済が弱含みのときに、この新型コロナウイルスショックに襲われたわけだ。

最低でも3~4カ月間、激しい落ち込みを覚悟すべき

一方、2月20日に発表された「月例経済報告」では、雇用や所得の環境が底堅いとして個人の消費は回復傾向にあり「景気は穏やかに回復している」と景気の見通しを発表している。

西村康稔・経済財政再生相は「能天気に持ち直していると言っているわけではない」と釈明したものの、市場関係者の多くは「能天気でなければうそをついているのでは......」という印象を持ったはずだ。日銀が何もできないために、景気後退を隠蔽しようとしているのではないか、と考える専門家が多い。

このままの状況で行けば、経済的なダメージはSARSなどの例を参考にするのではなく、東日本大震災のケースを参考にしたほうがいいのかもしれない。

例えば、2011年3月11日に発生した東日本大震災直後の総務省統計局の「消費動向」を見ると、全体では約2割の減少となり、東京電力による関東地方を中心とした計画停電時には、教養娯楽費などが瞬間的に6割台にまで減少している。乗用車新規登録・届け出台数なども最大4割近い水準まで落ち込んだ。

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