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労働

あなたのその仕事、意味ありませんよ!

Bullshit Jobs

2018年8月17日(金)14時40分
サミュエル・アール

つまり、おバカ仕事に従事している人は多いということだ。昨年の調査によると、アメリカ人の70%は今の仕事に本気で関わっていない。運よく意味のある仕事に巡り合っても、引き受けるには犠牲が伴う。「人の役に立つ仕事であればあるほど賃金は低い」からだ。

昔の経済学者や哲学者は、機械が労働者の代わりを務めれば労働時間は短くなり、人は自分にとって有意義な活動に時間割けると考えたものだ。経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、技術の進歩によって2030年までには「週15時間労働」で経済的繁栄を達成できるようになると夢見ていた。

それがどうだ。今も私たちの労働時間は増え続け、職場のストレスも増えている。しかも私たちは常に誰かに監視され、常に誰かとつながった状況に耐えなければならない。

デジタル化の途方もない進歩にもかかわらず、労働時間は頑として減らない。アメリカ人の労働時間は異様に長く、長時間労働で悪名高い日本人よりもひどい。アメリカ人の年間労働時間は1780時間で、ドイツ人の1356時間との差は約2カ月分の休暇に相当する。

スペインの公務員ガルシアの素晴らしき詐欺行為は、フルタイムで週5日は働かないと自分の人生も社会全体も破綻するという思い込みの欺瞞性を痛快なまでに暴き出した。グレイバーによれば、今の社会は人を仕事のための仕事に縛り付け、仕事以外の時間を充実させる方法を考えようとしない。

誰もが仕事に満足しているのなら、それもいい。だが明らかに人は満足していない。各種の調査によれば、鬱病やストレス、不安といった心の病を抱えたアメリカ人の数は過去最高となっている。こうした傾向の原因は複雑だろうが、仕事が1つの要因なのは確かだ。

仕事の世界の中心には残酷な矛盾がある。社会は仕事を人間の尊厳と価値観の基礎に据えるように仕向ける一方、人口のかなりの部分が自分の仕事を嫌うような環境をつくり出している。

技術革新で問題は悪化

グレイバーによれば「かなりの人が、自分の仕事には社会的有用性や価値がないとひそかに確信しつつ働いているという事実」は、深い「心理的、社会的、政治的影響」をもたらす。それは「共有される魂の傷」だ。

過激な主張をするイメージから、グレイバーの議論を敬遠する読者もいるかもしれない。しかし彼の提示する議論に政治的な偏向はない。

それは、人が個人的、集団的に送る生活のことであり、私たちがつくり上げた世界の問題だ。グレイバーはあえて解決策の提示を避け、事実にのみ焦点を当てている。仕事の世界には問題があり、それを黙って受け入れる風潮は問題をさらに悪化させるだけだという事実に。

オートメーションや、より広い意味での技術革新が解決策にならないことを、グレイバーは明確に指摘している。世界を席巻した最新のオートメーション化の波は、人をケインズの夢見た高みではなく、週40時間のおバカ仕事に駆り立てた。

いま必要なのは「仕事のない世界」を創造的に考えることだと、グレイバーは言う。『おバカ仕事の理論』は、そうした考察の出発点になる。現状は「何かがひどく間違っている」と彼は書く。その間違いを正す仕事には、きっと意味がある。

<2018年8月14&21日号掲載>

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