コラム

「移民狩り」抗議で荒れるLAに軍投入...全てはトランプの「演出」?【風刺画で読み解くアメリカ】

2025年07月05日(土)18時13分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

©2025 ROGERSーANDREWS McMEEL SYNDICATION

<トランプの不当な移民拘束に対する抗議の暴動に州兵が投入され、さらに荒れて激化。これも「トランプ劇場」の思惑通り。アメリカ出身芸人のパックンが解説します>

2020年、ジョージ・フロイド殺害事件後に、Black Lives Matter(直訳:黒人の命・人生も大事)運動が全米に広まった。そこでトランプ米大統領はCan't we just shoot them in the legs?!(デモ参加者の足を撃っていいんじゃないの?!)と尋ね、当時のマーク・エスパー国防長官に軍や州兵の投入を促した。著書の回顧録でそうつづるエスパーは、兵の派遣は最終手段だと固く反対したという。当然の判断だ。軍が入ると住民の反発が強まり、デモ参加者が殺されでもしたら怒りが爆発しかねない。エスパー氏はエスパーじゃない。超能力がなくてもそれぐらい分かるはず......。

最近の運動は、Immigrant Lives Matter!(移民の命・人生も大事!)といった趣旨。そもそも、レイプ犯だ! 麻薬売人だ! 殺人鬼だ!というレトリックで不法移民の拘束と強制退去を公約に掲げたトランプはいつの間にか、アメリカ入国後に犯罪歴はなく、平和に暮らしている人も厳しく取り締まるようになった。その彼らが溶け込んでいるコミュニティーの一般市民が立ち上がって抗議の意を表すために起こしたのが、この運動だ。


最近、注目されたのはロサンゼルスでの抗議デモ。市長によると、最初は120人規模で、落書きや暴力は多少あったとはいえ、制御不能な状態じゃなかった。ドジャースが優勝するだけでも暴動が起きるロサンゼルスだから、慣れっこだ。

しかし、トランプは数日後に州兵の投入を発表。そして本来はアメリカ国内で活動しないはずの海兵隊も。ウクライナや中東で戦争が起きている。東アジアでも国益が懸かった緊張状態が続いている。だが、トランプが軍を投入するのはロサンゼルスと、自分の誕生日の軍事パレードだ。

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、日本の対米投資第1弾発表 テキサスなど

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、ハイテクが序盤の安値から

ワールド

米副大統領、企業のAIによる国民の監視に懸念=FO

ワールド

イラン外相、米との核協議で「指針となる原則」で大筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 5
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story