コラム

ニューハンプシャー州予備選敗北で、ヘイリーが仕掛ける一発逆転策とは?

2024年01月24日(水)14時30分

では、どうしてヘイリー候補は「敗北宣言」を行わなかったかというと、選対の関係者への取材としてCNNは次のような解説を流しています。まず「大口の献金がかなりあり、選挙資金はまだ潤沢」なのだそうです。その上でヘイリー候補は、「今度こそトランプ候補をテレビ討論に引っ張り出して一対一の対決をする」としています。この「一対一の勝負」に一発逆転をかけるというのが、彼女の戦略のようです。これを受けて、そもそもトランプが、これまで拒否し続けていたテレビ討論の場に出てくるのかがとりあえず注目されます。


ですが、アメリカ社会は「ニューハンプシャーでもトランプ勝利」という「事実」を前提として動き出しています。テレビ各局の特番では、焦点は「トランプが副大統領候補に誰を指名するのか?」という問題に移ったというコメントが飛び交っています。あくまで「自分に忠実で独裁や暴力を認める「トランプ主義者」から選ぶのか、それとも「共和党の本流に近い常識的な候補」を選ぶのかが焦点だというのです。また、バイデン大統領の選対周辺からは「これで、バイデン対トランプの一騎打ちとなる本選に焦点が移った」というようなコメントが飛び出しています。

その一方で、アイオワとニューハンプシャーで見せた「トランプの勢い」に対して、果たして「バイデンで勝てるのか?」という疑問の声が民主党内から湧いてくるかもしれないという見方もあります。むしろ、これからは大統領選の焦点としては民主党側の「トランプへの迎撃体制」が注目されるのかもしれません。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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